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もっと知りたい!雇用労働ナレッジノート

「多様な働き方」を推進する環境づくりが活発化しています。
働く人の現状に最良な時間や場所、そして介護や育児などの両立を支える
社会基盤の構築が大切で、そのための法整備が進んでいます。
『雇用労働ナレッジノート』では、変遷する労働法制を
分かりやすくお伝えします。

隔月連載 第I回(終)

押さえておこう!「2018年、ここが変わる」労働法制のおさらい

労契法、派遣法、職安法の「3つの改正」に対応を
「無期転換」・「意見聴取」・「求人募集」 のルール

2018年は、雇用・労働分野の動きが活発化します。「長時間労働の是正」や「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」などを柱とする、労働法8本の改正を一括した「働き方改革関連法案」も、いよいよ国会で審議される見通しです。

注目度の高い法案審議となりますが、企業の人事・労務担当者が留意しなければいけないのは、今年、本格始動が確定している改正労働契約法に基づく「無期転換ルール」や、2015年に施行された改正労働者派遣法に伴う「受け入れ企業に対する上限3年ルール・更新手続き」などへの適正な対応です。1月1日に施行されている改正職業安定法による「求人・募集の新ルール」も実務面で大切です。

第10回の区切りとなる今回の『ナレッジノート』では、2018年に変わる「3つの改正法のポイント」をおさらいします。

労働契約法 〜「有期通算5年で無期転換」、4月1日から本格化〜

2013年4月1日に「改正労働契約法」が施行されました。同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えると、労働者の申し込みによって期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールです。改正法の柱となる雇用に関する新しい取り組みで、一般的に「無期転換ルール」と呼ばれています。

施行から5年を迎えるため、今年4月に「ルールが本格化する」と言われていますが、施行後に「3年契約」を再び更新している場合などは既に「申込権」が発生していることもあります。

権利を持つ有期契約社員から無期転換の申し込みがあると、使用者は申し込みを受諾したものとみなされ、無期労働契約が成立します。下記の図のように、「契約期間が1年の場合は5回目の更新後1年の間に」、あるいは「契約期間が3年の場合は1回目の更新後3年の間に」無期転換の申込権が発生します。(詳細は第F回第H回をご参照ください)。

無期転換ルール

厚生労働省は、企業の対応策として、以下の4点を呼び掛けています。

@社内における有期契約社員の就労実態を把握

雇用している有期契約社員の人数、更新回数、勤続年数、担当業務の内容などを整理。

A自社の特性に合わせ、「無期転換ルール」への対応と方向性を検討

有期契約社員を無期転換後、人材活用の戦略的観点から、どのような社員として位置づけるか検討。有期契約社員が無期転換した場合、転換後の雇用形態に応じて、「正社員」と同じなのか、異なる点があるのかを明確にしておくことで、その後のトラブルを未然に防ぐ。

B無期転換後の労働条件を設定

就業規則などを整備しておく。「無期転換社員」(有期労働契約時と同じ労働条件で、契約期間が無期)、または「多様な正社員」(職務限定社員、エリア社員、短時間正社員など)、「正社員」の3タイプなどが考えられる。

C最初の導入に向けた制度の設計段階から、労使間で十分に確認

企業は出来る限り丁寧な説明に努め、円滑に無期転換制度が運用されているかを把握し、改善することが重要。

労働者派遣法 〜受け入れ期間の延長の場合、今夏までに対応を〜

2015年9月30日に「改正労働者派遣法」が施行され、従来までの「政令26業務」の撤廃など、多くの抜本的な見直しが図られました(詳細は第@回をご参照ください)。
その中の柱のひとつが「期間制限の見直し」で、「受け入れ企業である事業所単位の期間制限」と「働く人でみた個人単位の期間制限」があります。「事業所(企業)単位」と「個人単位」と呼ばれるもので、いずれも上限3年。この3年が今年9月30日に到来します。

ここでは、人事・労務担当者向けに最重要ポイントとなる「受け入れ企業である事業所単位の期間制限の期間延長」に関する対応を説明します。改正法では、派遣先の労使間で意見聴取などを行うことによって、さらに3年の延長が可能となっています。意見聴取は過半数労働組合か、労働者過半数代表者に対して、事業所ごとに派遣の受け入れ開始日から、3年を迎える1カ月前までに実施しなければなりません。過半数労働組合などが異議を述べたときは、延長前の派遣可能期間が経過する日までに、延長の理由と期間、異議への対応方針を説明することが必要です。

派遣先の意見聴取の手続きに関するイメージ

正当な手続きを踏まないと、事業所で3年を超えて派遣を受け入れることはできません。意見聴取義務違反(期間制限違反)は、「勧告・公表、労働契約申し込みみなし制度」の対象となります。大切な対応ですので、延長の有無を含めて現時点で十分に意識し、対応方針を決めておくことが望まれます。

@意見聴取

派遣先が意見を聴く際は、「派遣可能期間を延長しようとする事業所」、「延長しようとする期間」を書面で通知しなければなりません。

事業所の派遣労働者の受け入れの開始以来の派遣労働者数や、派遣先が無期雇用する労働者数の推移など参考になる資料を提供しなければなりません。

意見を聴いた後、以下4点の事項を書面に記載し、事業所単位の期間制限の抵触日から3年間保存し、また事業所の労働者に周知しなければなりません。
1. 意見を聴いた過半数労働組合の名称または過半数代表者の氏名
2. 過半数労働組合等に書面通知した日及び通知した事項
3. 意見を聴いた日及び意見の内容
4. 意見を聴いて、延長する期間を変更したときは、その変更した期間

A対応方針等の説明

意見を聴いた過半数労働組合等が異議を述べたときは、事業所単位の期間制限の抵触日から「派遣可能期間の延長の理由及び延長の期間」、「異議への対応方針」について説明しなければなりません。

説明した日及び内容を書面に記載し、事業所単位の期間制限の抵触日から3年間保存し、また事業所の労働者に周知しなければなりません。

B派遣可能期間の延長

派遣可能期間を延長できるのは3年間までです。延長した派遣可能期間を再延長しようとする場合は、改めて過半数労働組合等から意見を聴く必要があります。

意見聴取は、派遣先の事業所で受け入れているすべての労働者派遣が対象となるため、意見聴取を行うことで、原則としてすべての労働者派遣の派遣可能期間が一律に延長になります。

職業安定法 〜労働者の求人募集を行う際の適正化、1月1日施行〜

2018年1月1日に「改正職業安定法」が施行されました(一部を除く)。求職者保護の観点に基づき、「求人・募集情報の適正化」と「職業紹介事業の機能強化」に向けた見直しが軸となっています。主な改正点と、企業が求人や募集を行う際の留意すべき事項を再点検しましょう。(第E回を併せてご参照ください)

ここでは、企業が知っておくべき「求人・募集情報の適正化」について要所をお伝えします。

ハローワーク等へ求人申込みをする際や、ホームページ等で労働者の募集を行う場合は、労働契約締結までの間、労働条件を明示することが必要となります。

労働者の募集や求人申込みの際に、最低限の必要事項を書面の交付によって明示しなければなりません。ただし、求職者が希望する場合には、電子メールによることも可能です。改正前と改正後で新たに加わった事項などを挙げると、下記のような例になります。

求人・募集情報の適正化

職業安定法に基づく指針などの要所

1. 明示する労働条件は、虚偽や誇大な内容としてはなりません。

2. 有期労働契約が試用期間としての性質を持つ場合、試用期間となる有期労働契約期間中の労働条件を明示しなければなりません。また、試用期間と本採用が一つの労働契約であっても、試用期間中の労働条件が本採用後の労働条件と異なる場合は、試用期間中と本採用後のそれぞれの労働条件を明示しなければなりません。

3. 労働条件の水準、範囲などを可能な限り限定するよう配慮しましょう。

4. 労働条件は、職場環境を含め可能な限り具体的かつ詳細に明示するよう配慮しましょう。

5. 明示する労働条件が変更される可能性がある場合は、その旨を明示。実際に変更された場合は速やかに知らせましょう。

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