リファレンスチェックで使える27の質問項目! 流れや注意点もご紹介

採用プロセスにおいて、書類選考や面接をするだけでは、求職者の素顔が見えないこともあり、ときにはミスマッチが起こることも。そんなときには「リファレンスチェック」が効果的です。

そこで本記事では、リファレンスチェックのメリットや具体的な方法、注意点などを解説します。質問項目と例も挙げているので、ぜひ参考にしてください。

リファレンスチェックとは

リファレンスチェックとは、採用プロセスのなかで、求職者以外の第三者から求職者についての情報を得ること。リファレンス(英語:reference)は、参照や参考といった意味をもちます。

注目を浴びる背景

最近では、外資系企業以外でも、リファレンスチェックの導入を検討する企業が増加傾向にあります。その背景にあるのは、中途採用における離職率の高さや、ワークエンゲージメントへの関心の高まりなどです。

厚生労働省が発表した「令和元年版労働経済の分析」によると、ワークエンゲージメントが高い企業ほど、従業員の離職率が低いことが明らかになっています。

令和元年版労働経済の分析│厚生労働省

リファレンスチェックをすることで、自社に合った人材を採用し、離職率の抑制につなげたいという企業の期待があります。

リファレンスチェックの目的やメリット

リファレンスチェックの目的とメリットを企業側、求職者側それぞれの視点で解説します。

企業側

まずは企業側から見た場合のメリットを解説します。

1.ミスマッチを減らす

リファレンスチェックを行う企業側のメリットは、採用時のミスマッチを減らせることです。従業員を採用した際に、想定していた基準よりもスキルが足りなかったり、そもそも社風に合わなかったりすることは少なくありません。

リファレンスチェックを取り入れることで、ミスマッチが減り、離職率も改善されて採用や育成コストの抑制にもつながります。

2.経歴詐称などのチェック

求職者が経歴詐称などを行っていた場合、リファレンスチェックで検知できる可能性があるのもメリットです。

経歴などを偽って求人に応募している可能性はゼロではありません。リファレンスチェックによって求職者の履歴書や職務経歴書と大きな開きが見つかった場合、採用を見送るなどの対応策を検討できます。

3.客観的な意見を得られる

リファレンスチェックは、求職者のことをよく知る第三者に協力してもらうため、客観的な意見が得られます。通常の選考で得られる情報は、求職者による主観的な情報です。求職者が自身の成果だと感じてアピールしていることも、事実をよく知る第三者から見ると、違う解釈になることがあるのです。

求職者について点ではなく面で捉えて理解を深めるためにも、主観的な情報と第三者の客観的な情報を併用しましょう。

4.人材マネジメントへの活用

リファレンスチェックによって、求職者をより深く理解するメリットは、採用時だけではなく入社後にもあります。それは入社後の人材マネジメントに活用できることです。

リファレンスチェックによって、求職者の強みや弱み、コミュニケーションの取り方、成果を出しやすい条件といったより多くの情報を勤務する前から集められます。これらの情報は、入社後の配属決めや、オンボーディングを成功させるための情報として参考になります。

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求職者側

続いて、求職者側から見た、リファレンスチェックのメリットを見ていきましょう。

1.アピールになる

求職者視点でのメリットは、なんといっても転職先企業に対するアピールになる点です。

リファレンスチェックでは、求職者のことをよく知る上司や同僚が、自分に代わって質問に答えてくれます。こうした第三者からの客観的な評価は、これまでの成果の裏付けになり、主観だけの情報よりも企業からの信頼感が増すのです。

リファレンスチェックの際の注意点

リファレンスチェックを行う際の注意点を見ていきましょう。

企業側

まずは、企業がリファレンスチェックを行うときの注意点を解説します。

1.必ず求職者の承諾を得る

リファレンスチェックで最も重要なのは、求職者の承諾をきちんと得ることです。個人情報の保護に関する法律(略称:個人情報保護法)の第16条では、下記のように規定されています。

第十六条 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。
2 個人情報取扱事業者は、合併その他の事由により他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ないで、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。

また、同法律の第17条では、下記のように規定されています。

個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。
2 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない。
一 法令に基づく場合
二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。

本人の同意なしにリファレンスチェックを実施すると、個人情報保護法に抵触することになります。必ず求職者の承諾を得てから行いましょう。

個人情報保護法

2.目的や意図をしっかりと説明する

求職者にリファレンスチェックの承諾を得る際は、目的や意図、流れをしっかり説明しましょう。

リファレンスチェックは、欧米では一般的ですが、日本国内ではまだそれほどメジャーではありません。そのため、十分な説明がないと、リファレンスチェックを知らない求職者や不慣れな求職者からすると、不安に感じてしまうのです。

3.リファレンスチェックを拒否されるケースも想定しておく

リファレンスチェックを依頼して、求職者から拒否される可能性はゼロではありません。考えられる理由としては、求職者が現在の職場に伏せて転職活動を行っているケースです。ほかにも、現在の職場と良好な関係性が築けておらず、上司や同僚にリファレンスチェックの対応を頼めないケースも考えられます。

求職者に拒否された場合は、できない具体的な理由を聞き、「前職など現在の職場以外の関係者に話を聞く」といった別の対応を検討しましょう。

4.リファレンスチェックの結果だけを鵜呑みにしない

リファレンスチェックを実施したからといって、その情報だけを鵜呑みにしてはいけません。客観的な情報とはいえ、ファクト以外の情報には、多少なりともバイアスが含まれているからです。

「仕事で助けてもらったことも多いから、(求職者が)有利になるように話そう」と、オーバーに話してしまう可能性もあります。求職者から得られた情報と、その裏付けとなるリファレンスチェックの情報を総合的に見て、採否を判断しましょう。

5.リファレンスチェックによる採否の決定は慎重に検討する

リファレンスチェックの結果をもとに採否の決定を行う際は、慎重に検討することが望ましいでしょう。とくに内定後の場合は、すでに労働契約が成立したことになり、取り消しは解雇に該当するからです。

労働契約法の第16条では、「客観的に合理的な理由」がない限り、解雇は無効とされています。

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

労働契約法 第16条

求職者側

次に、求職者側がリファレンスチェックを受けるときの注意点をお伝えします。

1.信頼できる人を推薦する

企業からリファレンスチェックの依頼を受けて推薦者を指定する場合は、自分のことをよく知る信頼できる人物を推薦しましょう。

一般的には直属の上司などを推薦します。関係性がよくない人や関係性が薄い人を指定する必要はありません。信頼関係があり、自分の身近にいる人物が適任です。部下にリファレンスチェックの対応を依頼するケースもあります。しかし、答える内容がポジティブになりすぎる場合もあり、あまり推奨されていません。

2.推薦者に内容をしっかりと説明する

リファレンスチェックの対応を上司や同僚に依頼する際は、目的や流れを抜けもれなく説明しておきましょう。趣旨を理解せず、準備が不十分なままリファレンスチェックを行うと、正しい情報が伝えられなくなってしまうからです。

また、リファレンスチェックは、推薦者の時間を奪うことにつながります。少しでもスムーズに進めるために「電話なのかメールなのか」「何分くらい時間が必要なのか」「どのような流れで進んでいくのか」など、詳細をあらかじめ伝えておくとよいでしょう。

3.推薦者が質問に答えやすいよう配慮する

リファレンスチェックを依頼するとき、推薦者が質問に答えやすいよう、事前準備をしておきましょう。

前職の上司に推薦者を依頼する場合は、記憶があいまいになっていたり、答えがパッと出てこなかったりもします。想定される質問を伝えたり、自分の職務経歴書やアピールポイントを共有したり、準備はしっかりと行いましょう。

4.断る場合は理由をきちんと述べる

勤務先に伏せて転職活動を行っているなど、やむを得ない理由でリファレンスチェックを断る場合は、その理由もきちんと説明しましょう。

リファレンスチェックを断ると、選考が不利になることも考えられますが、事情がある場合は正直に企業に伝えてみてください。「転職活動を行っていることを伝えていない」などの理由であれば、前職や前々職にリファレンスチェックを実施する方法もあります。

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リファレンスチェックのやり方、流れ

リファレンスチェックの基本的な流れは下図の3ステップです。それぞれ具体的に説明します。

1リファレンスチェックのタイミング
リファレンスチェックを行うのは、一般的に内定前後です。内定前の場合は「内定を出すかどうかの意思決定」として、内定後の場合は「内定者の実績の裏付け」として行われます。
2求職者に説明し承諾を得る
リファレンスチェックを行うことが決まったら、求職者に趣旨や方法を説明し、承諾を得ましょう。日本の場合、リファレンスチェックを知らない人も多いので、言葉だけだと十分に伝わらない可能性があります。流れなどの説明用資料を用意しておくことをお勧めします。
3推薦者を探す

リファレンスチェックの推薦者を探す方法は、2通りあります。

(1)求職者が行う場合

推薦者を探す方法として、求職者自身がリファレンス先(推薦者)を指定することがあります。仕事で関係性が深い上司、2名以上が推薦者になることが一般的です。

また外資系企業がリファレンスチェックを行う場合、当然ながら推薦者に英語で質問することになります。そのため、英語力がある人を推薦者に選ぶ必要があります。

(2)企業側または調査会社などが行う場合

企業の採用担当や委託先の調査会社が、推薦者を探すケースもあります。この場合、基本的に求職者が推薦者を探す必要はありません。

勤務先へ電話を入れたり、SNSで関係性の高い人物を探したり、求職者の人脈をさかのぼったり、さまざまな方法で調査が実施されます。

4電話やメールなどでヒアリングを行う

リファレンスチェックを受ける推薦者が決まったら、電話やメールなどでコンタクトを取り、質問項目に回答してもらいます。

最近では、Web上でやりとりが簡潔する、リファレンスチェックの専用サービスなども存在します。そうしたサービスを活用することで、企業側の手間を少なくしつつリファレンスチェックを実施できるでしょう。

リファレンスチェックの具体的な質問項目、質問例

ここからは、リファレンスチェックの具体的な質問項目と、質問例を挙げていきます。

<勤務実績>

1.在籍期間

  • 求職者の在籍期間はいつからいつまででしたか?
  • 求職者が以前はどのような会社で働いていたか教えてください。

2.職務経歴

  • 求職者の役職について教えてください。
  • 求職者の給与について可能な範囲で教えてください。
  • 求職者は何名ほどマネジメントしていましたか?

<求職者の人物像>

1.勤務態度

  • 遅刻や欠勤の頻度はどれくらいありましたか?
  • 求職者が遅刻や欠勤するときはどのようなときでしたか?
  • 勤務態度は真面目でしたか?
  • 勤務先でトラブルなどはありませんでしたか?

2.人間関係

  • あなたと求職者との関係性を教えてください。
  • あなたにとって求職者はどのような人物ですか?
  • 求職者は周囲とどのようにコミュニケーションしていましたか?

3.仕事に対する価値観

  • 求職者は仕事にどのようなことを求めていましたか?
  • 求職者はどのようなキャリアビジョンを描いていましたか?
  • とくにどのような仕事に対して前向きに取り組んでいましたか?
  • 仕事でどのようなことに悩んでいましたか?

<求職者の職務能力>

1.実績や成果

  • 求職者の最も大きな成果は何だと思いますか?
  • 求職者があげた成果でもっとも印象に残っているエピソードを教えてください。
  • 求職者は仕事上の課題をどのように乗り越えましたか?
  • 求職者が成果を出せた要因は何だと思いますか?

2.仕事へ取り組む姿勢

  • 求職者は仕事に対して主体的に取り組んでいましたか?
  • 求職者は仕事に対してどんな提案や起案を行いましたか?
  • チームで仕事に取り組む際に求職者はどのような工夫をしていましたか?

3.強みや弱み

  • 求職者の強みと弱みを具体的に教えてください。
  • 急な対応や大きな問題があったとき、求職者はどのように対応しましたか?
  • 求職者が今よりさらに大きな成果を出すために何が必要だと思いますか?
  • 求職者にアドバイスをするとしたらどのようなことを伝えますか?

候補者が派遣社員だった場合もリファレンスチェックを行うことがある

ケースとしては少ないですが、求職者の現職や前職が派遣社員である場合も、リファレンスチェックを行うことがあります。派遣社員だった場合は、派遣先企業ではなく、派遣元の企業にリファレンスチェックを実施することが一般的です。その場合でも、基本的にリファレンスチェックが進む流れは変わりません。

採用担当者の業務負担が気になる際はサービスの利用も

リファレンスチェックを実施すると、少なからず企業の採用担当者に負担がかかります。業務不可を減らしたい場合は、専門のサービスを利用するのもひとつの手です。

また、推薦者にヒアリングをする場合は、適切な情報を引き出すため、一定のスキルが必要です。「質問がうまくできず、欲しい情報を得られなかった」といった事態を避け、ヒアリングの精度をより高めるために、プロに依頼してみるのもいいでしょう。

まとめ

リファレンスチェックは第三者からの客観的な情報を集めることで、求職者を点ではなく面で捉えられるようになります。

通常の採用プロセスでは、求職者の実際の働きぶりまでは把握できません。求職者が自社で働くイメージを鮮明にするためにも、リファレンスチェックを実施してみてはいかがでしょうか?

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