仕事のやりがいを高め、より良い自分に近づけるように

仕事のやりがいを持つことは、日々の生活や人生を生き生きと過ごすためにも大切なことです。では、仕事のやりがいを見つけて、人生をより良いものにするためにはどうすればよいのでしょうか。
今回は、仕事のやりがいを高める要因、さらに、やりがいのあるものへと変えるためのポイントを、法政大学キャリアデザイン学部教授の坂爪洋美先生にご紹介いただきます。

仕事のやりがいは、心身の健康があってこそ

学校でキャリア教育を受けてきた世代の方々は、「この会社に自分がいる意義」や「自分がこの仕事を行う意義」への強い関心があります。そのため、今の仕事を自分が行う意義が見出せないと、やりがいを感じづらいと思われる方は少なくありません。

2004~2005年頃から、「ワークライフバランス」という言葉が使われ始めました。仕事とプライベート(自分の人生)の両立が大事だという考えが広がり、職場を選ぶ際には、働きやすさや労働条件にも重きを置くようになりました。しかし、いまだに「仕事のやりがい」と「働きやすさ」は両立しにくいのが現実です。仕事にやりがいがあれば無理をしても働いてしまうし、働きやすさを選べばやりがいは二の次になってしまいます。

仕事のやりがいは大事ですが、それは心身の健康があってこそ実現できるもの。まずは心身の健康が保てる労働環境であることが大切です。心身が健康であれば、やりがいを感じやすくなります。気持ちに余裕がある環境で新しくおもしろそうな仕事に取り組むことができれば、自分が仕事のなかで役に立っているという「有能感*」が得られます。これは、働くうえでとても重要なことです。

  • 有能感…自分自身を他者と比べず肯定でき、ほめたり、励ますことができる心の状態。

仕事のやりがいを高める4つの要因

仕事のやりがいを高める要因は4つに分けることができます。それぞれの項目で、どんなケースが仕事のやりがいにつながるのか、具体例も合わせて見てみましょう。

1. 仕事内容

  • 自分に合った仕事(感覚的に好き、自分の専門性を生かせる仕事)
  • 工夫の余地があり、仕事に裁量権があること
  • 自分が少しでも成長できる仕事(少し無理をする仕事)があると良い

2. 将来のキャリアへの展望

  • 「今の仕事が自分の未来を明るくする」という感覚が持てること
  • ここでの仕事や人間関係が自分の将来に役立ちそうと思えること
  • 自分の仕事にどんな意義があるのか理解していること

3. 人間関係

  • 良好な人間関係で、心理的安全性があること
  • きちんとフィードバックがもらえる関係性があること

4. 最低限の労働条件

  • 忙しすぎない仕事量
  • 健康に悪影響を与えない環境の確保

上記の4つを満たすことで、仕事のやりがいが高まる可能性があります。

自分の取り組み次第で、仕事のやりがいを増やすことができる

今の仕事をやりがいのあるものへ変えていくには、「ジョブクラフティング」という考え方を参考にしていただくと良いと思います。ジョブクラフティングとは、自分なりのちょっとした工夫や気持ちの持ち方で、自分にとってやりがいがある仕事につくり変えていくことです。

つくり変える方法は3つあります。

  • 仕事のやり方を工夫する(業務クラフティング)
  • 仕事でかかわる人を増やしたり、かかわり方を変えたりする(関係性クラフティング)
  • 仕事の捉え方を変える(仕事の捉え方クラフティング)

大事なことは、自ら自分の仕事をより良いものに変えていこうとする姿勢です。これは、仕事に限らず、日々の生活や人生全体にとっても大切なことです。

たとえば、つまらないと思っている仕事であっても、自分のものの見方を変えることで、新しい別の側面が見えてくることがあります。それができるようになると、「どこに行ってもどんな仕事でも楽しく働ける私」になれるのです。

さらに、同僚やお客さまなどへの声のかけ方を変えてみるなど、周囲とのかかわり方も工夫してみましょう。どうしても苦手な人とかかわらなくてはならないときは、ほかに逃げ場をつくってみたり、キャリアコーチに相談をしたりなど、行き詰まらないように人間関係を変えていける思考パターンを持つのも良いと思います。

「そもそも自分はなぜ働くのか?」を問い直して、今をもっと楽しくしていこうという視点を持つと、仕事の見え方が変わってきます。必ずしもポジティブである必要はなく、ネガティブな思考をしてしまう人は、その思考をどう変えられるかを考えて、自分なりの思考の切り替えパターンを身につけていきましょう。

「今」を、より良い状態にする一歩を踏み出す


仕事のやりがいを明確にするためには、自己理解を深めることが大切です。具体的には、自分が得意なことや強みを言語化することから始めます。「生きていて楽しいのはどんなとき?」というエピソードを考え、それを仕事用につくり変えてみましょう。

自己理解の一つとして、絶対に譲れないものを明確化することは大事です。
「家族との時間は大切にする」「裁量がある仕事」など。ここが曖昧だと、仕事への不満につながりやすくなります。

また、直接仕事とは結びついていなくても良いので、「私はこうなりたい」という夢を言葉にしてみましょう。その夢を、自分の話を聞いてもらえる場所で話してみてください。さらに、ブラッシュアップしてまた次の場所で話します。自分のことを話す場所にたくさん行くようにして、繰り返し話していると、その夢が自分らしい夢になっていくでしょう。

このとき、自己理解が完璧にできてから話そうと思っていると、なかなか前に進みません。難しく考えずに気軽に第三者に話してみて、自分の本質をその人と一緒に見つけるスタンスでやってみましょう。

多くの方にとって、「自分のキャリア」や「将来なりたい姿」はすぐにはイメージしにくいものと思いますので、まずは自己理解を深める小さな一歩から進めていきましょう。


そのためには、以下の3つをポイントとして心がけて行動してみましょう。

見えないわからないを恐れない

  • 小さな一歩で自分の夢を語りつつ、「将来なりたい姿」を探していく
  • 将来なりたい姿をはっきり思い描いてから動くのではなく、動きながら考える、動いてときどき振り返る

ジョブクラフティング
(今の仕事を自分でやりがいのある仕事につくり変える)という考え方を持つ

  • 私が変わると周囲が変わる(周囲が変わらなければ、居場所を変える)という意識を持つ
  • 変化とともに生きる、自分がより良い変化を生む存在になる

周囲も私もHappyになる行動を選択する

  • 小さなwin-win(痛みがあるなら、お互い痛み分けとなるような状態)のつくり方を身につける
  • 私と周囲の双方にとっての幸せをつくり出す行動を選択すれば、周囲を巻き込んで、より良い状態にすることができる

変化が激しい時代となりましたが、そのなかで日々、「どんな自分でありたいか」を考えていくことはとても重要です。仕事を通して、より自分らしい自分となれるように、行動していきましょう。

Profile

坂爪 洋美先生
法政大学キャリアデザイン学部 教授

慶應大学文学部卒業。株式会社リクルート人材センター勤務を経て、慶應義塾大学大学院経営管理研究科にて、2003年博士(経営学)を取得。和光大学を経て、2015年4月より現職。専門は組織行動論。働き方が多様化し、キャリアパスが多様化・不明瞭化するなかでどう能力向上をはかり、キャリア形成を進めていくかという点について研究を進めている。

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