日本人なら知っておきたい和食のマナーとは?和室の作法

社会人になると、冠婚葬祭をはじめ、上司や取引先との会食、格式ある店での食事会など、食事マナーが問われる場面が増えていきます。知らないと自分が恥をかくだけでなく、食事をともにする人たちまで不快にさせることになりかねません。そして、食事のマナーを心得ておくことは、社会人としての評価や信用にもつながります。
ここでは、日本人なら絶対に押さえておきたい和食のマナーについて、基本的な食べ方から和室の作法までご紹介します。

和食マナーの基本

幼いころ、お膳やテーブルに料理を並べるときは左がご飯、右がお味噌汁と教わった人は多いでしょう。和食の配膳は、古くから伝わるルールに基づいて、定位置が決められています。配膳のベースになるのは、和食の基本的な献立であるご飯と汁物に加えて(漬物がつく場合もあり)、主菜、副菜2品からなる「一汁三菜」です。

正しい和食の並べ方

  • 主食:白飯、具入りのご飯など(左手前)
  • 汁物:味噌汁、お吸い物など(右手前)
  • 主菜:揚げ物、蒸し物、焼き物(右奥)
  • 副菜:香の物、あえ物(真ん中)
  • 副菜:煮物やサラダなど(左奥)

なお、お酒を出す場合は、ご飯は後から配膳されるため、茶碗の位置にお酒を置きます。左利きの人に対して和食を配膳する場合は、箸の向きだけが逆になります。

味が薄い物から食べる

和食に限らず、食事は味の薄い物から順番に食べていくのがマナーです。最初に味の濃い物から食べ始めてしまうと、繊細な味付けや風味がわかりにくくなるからです。主菜は後回しにして、まずは温かい汁物からいただきましょう。次にご飯、主菜、副菜という順番で食べ進めていきます。

和食に欠かせない箸のマナー

日本での食事に欠かすことのできない箸は、食事中のマナーが気になりやすい部分のひとつです。箸の持ち方や使い方は、正しく理解しておきましょう。

正しい箸の持ち方

最初に箸を取り上げるときは、3つの動作の「三手」で正しい位置まで持ってきます。

  1. 1.右手で、箸の真ん中あたりをつまむようにして持ち上げる
  2. 2.左手の手のひらを上にして下から支え、右手を横に滑らせる
  3. 3.右手を返して下に移動させ、左手を外して正しく箸を持つ

汁物の椀を持って箸を取り上げるときは、両手で持ち上げた椀を左手にのせた後、右手で箸を取り上げて左手の人差し指と中指のあいだに挟みます。そのまま右手を下に回し、左手を離して食べ始めましょう。

間違った箸の使い方に気を付けよう

食事をともにする人に不潔な印象を与え、不快にさせる箸の使い方を「嫌い箸(きらいばし)」と呼びます。食事中に嫌い箸をすることはマナー違反です。嫌い箸の一例を挙げておきましょう。

  • にぎり箸:握りしめるように箸を持つこと
  • 刺し箸:料理に箸を突き立てて食べること
  • 迷い箸:箸を持ったまま、どの料理を食べようか迷って箸を動かすこと
  • 寄せ箸:箸で器を引き寄せること
  • 渡し箸:食事の最中に、小皿や小鉢の上に渡すようにして箸を置くこと
  • ねぶり箸:箸先を口に入れ、残った食べ物をなめ取ること

間違いやすい和食のマナー

お皿やおしぼりなど、食事中に欠かせない物にも、正しいマナーがあります。知らず知らずのうちに間違って覚えていることもありますので、正しいマナーをおさらいしておきましょう。

お皿は重ねてはいけません

料理を盛り付けるお皿や自分の食べる分をよそう取り皿など、お皿の使い方にも正しいマナーがあります。お皿にまつわるマナーとして代表的なものは、以下の3つです。

  • 食べかけの物は皿に戻さない
    口に運び、食べかけた物を皿に戻すのはNGです。食べかけの物は、歯型がついたり噛み切った跡が見えたりして見た目が良くないので、一口で食べきれる量に切って口に運ぶようにしましょう。
  • 食べ終わった皿は重ねない
    お店の人が運ぶときに楽だろうからと、食べ終わった皿を重ねる人がいますが、これもマナー違反です。重ねたことで汚れが広がったり、テーブルに汚れがついたりするので、食べたお皿はそのままにしておくのが正しいマナーです。
  • 手皿をする
    お皿ではありませんが、箸で料理を運ぶときに、こぼれないように手のひらを皿代わりにする手皿もマナー違反です。一見、上品に見えますが、和食では手のひらサイズの小さい皿は持って食べて構いません。醤油の小皿などは、食材をつけた後で醤油が落ちるのを防ぐためにも、小皿を口の近くまで持っていくようにしましょう。

おしぼりは手を拭くためのもの

おしぼりは手を清める物で、それ以外の用途に使う物ではありません。顔を拭くのはもちろん、テーブルを拭いたりしてもいけません。おしぼりは右手で取り上げて左手に持ち替え、開いて両手を拭った後、使った部分を内側に入れてたたみ、あった場所に置きましょう。

お椀の蓋は元に戻す

汁物を食べ終わった後の蓋の位置は、元通りにかぶせるのが正解です。裏返しに置いてはいけません。また、どうしてもお椀が開かないときは、蓋を「の」の字を書くように回すとスムーズに開きます。

料理別・和食のマナー

これまでは一汁三菜を基本とした懐石料理を例にしたマナーを説明してきましたが、懐石料理や寿司などにもそれぞれ食事マナーがあります。

  • 会席料理
    会席料理は、コース料理のように一品ずつ順番に出てきます。一般的には、お酒を味わうための肴として前菜が出てから、煮物、刺身、焼き物、最後にご飯と汁物の順に提供されます。会席料理に出てくることの多い刺身は左側から順番に、焼き物は左側から少しずつ食べるのが鉄則です。大きすぎる物は、箸を使って一口大に切ってから食べましょう。
  • 寿司
    寿司を食べるとき、最初に頭を悩ませるのが手で食べるか、箸で食べるかではないでしょうか。基本的に、寿司は手で持って食べるのが良いとされていますが、箸を使ってもマナー違反ではありません。ただし、がりを食べるときは、必ず箸を使いましょう。寿司に醤油をつけるときは、醤油皿の中でシャリの部分が崩れてしまわないよう、ネタにつけます。軍艦巻きの場合は、がりにつけた醤油をネタの上に垂らすのも、正式な食べ方のひとつです。
  • 天ぷら
    天ぷらは、盛り合わせで出てくる場合と、一品ずつ順番に揚げ立てが出てくる場合があります。盛り合わせの場合は、盛り付けを崩さないよう、手前から順番にいただきましょう。取り上げた天ぷらは、取り皿に取ってから食べます。大きすぎる場合は、食べやすい大きさに切っても構いません。天つゆと塩がある場合、どちらからつけても構いません。塩を選んだ場合は、必要な分だけを手でつまんで、てんぷらの上に振りかけます。

覚えておきたい和室の作法

最近の住宅には和室が減っているため、ふすまの開け閉めや畳の歩き方、座布団の使い方などを知らない人も多いのではないでしょうか。和室を使うときに押さえておきたいマナーは、次の3つです。

畳の縁や敷居を踏まない

昔、畳の縁の柄や模様は、部屋の持ち主の身分によって決められていました。神社や寺、武家などでは縁に家紋を入れるところもあるため、相手を重んじる意味合いから踏んではいけないといわれています。敷居も同じように、踏みつけることはその家の人をないがしろにすることと同じだとされています。ふすまや障子を開けて入室するときには、うっかり敷居や畳の縁を踏まないよう気を付けましょう。

座布団には、すすめられるまで座らない

座布団には、勝手に座ってはいけません。座布団の下座側に正座して挨拶をしたら、招待してくれた相手に促されるまで待ちましょう。なお、座布団の位置は、ここに座ってくださいという相手の意思表示です。引き寄せたり、好きな位置に移動したりせず、そのまま座りましょう。

素足で入室しない

和室では素足はNGです。相手への気遣いとして、男性なら靴下、女性なら靴下かストッキングをはきましょう。接待などで事前に部屋のタイプがわからないときは、靴下かストッキングを着用しておくと安心です。

正しいマナーを身に付けておこう

和食のマナーは、配膳の仕方から箸の使い方、食べる順番まで多岐にわたります。すべてを一度に覚えることはできなくても、相手を嫌な気持ちにさせないため、最低限のマナーを身に付けておきましょう。
マナーを知ることで和食の世界の奥深さに気付くこともあるかもしれません。楽しみながらマナーを身に付け、スマートに食事ができる社会人を目指しましょう。

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