Q56 労働時間見直しガイドラインの改正

労働時間等見直しガイドラインが改正されたそうですが、会社としてどのような対応が求められているのでしょうか。

労働時間等見直しガイドラインは、ワーク・ライフバランス実現のために労働時間等設定改善法に基づき定められた指針であり、対応が義務付けられるものではありませんが、ガイドラインを踏まえて労働時間等の改善に取り組むことが求められています。
今回の改正は、以下3つです。

  1. 1.有給休暇取得のキッズウィークへの配慮
    「地域の実情に応じ、労働者が子どもの学校休業日や地域のイベント等に合わせて年次有給休暇を取得できるよう配慮すること」
    子どもの学校行事や2018年4月から実施されるキッズウィークに合わせて有給休暇を取得できるよう配慮を求めています。キッズウィークは、夏休み、冬休み等の長期休業日の一部を地域ごとに分散取得する制度です。制度の趣旨は、大人と子供が充実した時間を過ごせるようにすることですが、共働き世帯では子供を休みの日に一人で置いておくわけにはいかないという切実な問題が生じることがあるため、必然的に配慮が必要となります。
  2. 2.有給休暇付与条件の緩和の検討
    「仕事と生活の調和や、労働者が転職により不利にならないようにする観点から、雇入れ後初めて年次有給休暇を付与するまでの継続勤務期間を短縮すること、年次有給休暇の最大付与日数に達するまでの継続勤務期間を短縮すること等について、事業場の実情を踏まえ検討すること」
    2017年6月9日閣議決定「規制改革実施計画」で示された転職が不利にならない仕組み作りの一つとして、雇入れ6か月後に付与される有給休暇を前倒し付与することや付与日数最高20日に達するまでの勤続期間(現行6年6ケ月)を短縮することを推奨しています。
  3. 3.裁判員休暇の検討
    「公民権の行使又は公の職務の執行をする労働者について、公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行する労働者のための休暇制度等を設けることについて検討すること」
    裁判員になるために休暇を取得した場合、不利益な取り扱いをしないことは周知されているところで、休暇が取れないということは通常考えられないのですが、制度化することを推奨しています。

POINT育児・介護休業指針も同時に改正

子の看護・介護休暇は、労使協定により入社6ケ月未満の者を対象外とすることができますが、労使協定を締結する場合でも、入社6か月未満の者が一定の日数を取得できるようにすることが望ましいとされました。

Profile

答える人
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)

立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、派遣社員双方に生じやすい法的問題に詳しい。2007年より派遣元責任者講習講師を務める。

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