Q52 労契法特例措置の申請

労働契約法の無期雇用転換の例外となる有期雇用特別措置法の特例認定申請はどのように行えばよいのでしょうか。

有期特別措置法の特例申請は、高度専門職(第1種計画)・継続雇用高齢者(第2種計画)どちらも本社管轄の都道府県労働局に申請書を提出します。所轄の労働基準監督署を経由して労働局に提出することも可能です。第1種計画はプロジェクトごとに認定を受ける必要がありますが、第2種計画は複数の事業所がある場合でも事業所ごとに作成せずに本社一括で作成、申請してください。

第1種計画、第2種計画ともに特性に応じた雇用管理に関する措置の内容を選択します。第1種計画は9項目から1つ以上、第2種計画は8項目から1つ以上選択し、措置を実施することが分かる資料も添付書類として提出します。
第1種計画で下記1~4の休暇や労働時間に関して措置を講じるのであれば、それを規定した就業規則や労働契約書のひな型を添付します。5~9の措置を講じる場合で労働契約に記載されないものについては職業能力開発計画等を添付します。

第1種計画の特性に応じた措置

  1. 1.教育訓練を受けるための有給休暇又は長期休暇の付与(労働基準法第39 条の年次有給休暇を除く)
  2. 2.始業及び終業時刻の変更(教育訓練の時間確保のための措置)
  3. 3.勤務時間の短縮(教育訓練の時間確保のための措置)
  4. 4.その他能力の維持向上を自主的に図るための時間の確保に関する措置(学会参加を含む)
  5. 5.受講料などの金銭的援助
  6. 6.その他職業能力開発を支援するための教育訓練に係る費用の助成
  7. 7.教育訓練の実施(事業主以外の機関等の施設により行われる教育訓練の受講を含む)
  8. 8.職業能力検定の実施(他の事業主等が行う職業能力検定の受検を含む)
  9. 9.業務の遂行に必要な技能及び知識の内容等に関する情報の提供、相談の機会の確保その他の援助

第2種計画で下記1の高年齢者雇用推進者とは、高年齢者雇用確保措置を推進するため、作業施設の改善その他の諸条件の整備を図るための業務を担当する者で、選任は努力義務ですが、選任している場合は、毎年6月に提出している高年齢者雇用状況報告書の控を添付します。それ以外の項目を選択する場合、就業規則や労働契約書のひな型を添付します。

第2種計画の特性に応じた措置

  1. 1.高年齢者雇用推進者の選任
  2. 2.職業訓練の実施
  3. 3.作業施設・方法の改善
  4. 4.健康管理、安全衛生の配慮
  5. 5.職域の拡大
  6. 6.職業能力を評価する仕組み、資格制度、専門職制度等の整備
  7. 7.職務等の要素を重視する賃金制度の整備
  8. 8.勤務時間制度の弾力化

第2種計画では、現行の高年齢者雇用確保措置として定年の引き上げや、継続雇用制度の導入状況も記入し、措置を講じていることが分かる資料として高年齢者雇用状況報告書の控や就業規則、継続雇用基準を定めた労使協定を添付します。複数の事業所がある場合、本社分だけ提出します。
都道府県労働局から再雇用者の労働契約書のひな型等上記以外の資料を求められることもありますので、労働局にご相談の上、認定申請を行ってください。

POINT余裕をもって申請を

継続高齢者の特例申請は、2018年4月に向けて増加することが予想されます。申請件数が多いと認定までに時間を要することが予想されるため、第2種計画の申請をご検討の場合は余裕をもって申請することをお勧めします。

Profile

答える人
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)

立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、派遣社員双方に生じやすい法的問題に詳しい。2007年より派遣元責任者講習講師を務める。

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