Q23 介護休業と介護休暇の違い

2017年1月1日から育児介護休業法が改正されて介護休業と介護休暇の制度が変更になるようですが、休業と休暇は何が違うのでしょうか。

どちらも要介護状態の家族の介護や世話のためにお休みできる制度です。法令に明記されていませんが、介護休業はある程度まとまった日数を計画的に休む制度、介護休暇は1日から数日突発的に休むことができる制度というイメージです。休業と休暇どちらも定義は、労働日(労働する義務がある日)に会社がその労働義務を免除する日ですが、介護に関するお休みの措置は期間の長短で言葉を使い分けているようです。

介護休業 介護休暇
期間 対象家族1人につき93日
3回まで分割取得可能
対象家族1人につき1年に5日
対象家族が複数の場合1年に10日
取得手続き 原則2週間前までに申出 休暇当日の申出も可
賃金 支払義務はない 支払義務はない
雇用保険の給付 介護休業給付を申請できる 制度なし

介護休業は、期間制限を設けず対象家族1人につき93日を社員の判断で分割取得することができるため、1日だけ介護休業を取得することも可能です。その点では介護休暇との類似性があるのですが、原則として2週間前までに書面(会社が認める場合はファックス、電子メールも可)で介護休業の取得申請をしなければなりません。もし、休業開始希望日の2週間前までに申出がなかった場合は、一定の範囲で会社が休業開始日を指定することもできます。一方、介護休暇は、申出方法に限定がなく口頭での申出も可能なので、当日に電話で申し出ることで取得することができます。また、制度上1日だけ介護休業を取得することは可能ですが、分割取得は3回までなので、1日を3回取得すると90日を残してその対象家族のために介護休業を取得することはできなくなってしまうので現実的ではありません。

介護休業には、休業期間の繰り下げや申出の撤回など一定期間休むことを前提とした制度が法令で定められていますが、介護休暇は突発的、短期的なお休みを可能にする制度なので申出に関する定めしかありません。

POINT介護休業給付金の引き上げと対象家族の拡大

介護休業給付金は賃金の40%から67%に既に引き上げられています。(引き上げ後の給付率67%が適用されるのは、平成28年8月1日以降に介護休業を開始した場合です。)

また、介護休業給付金の対象となる家族が拡大されます。対象となる家族は、(1)配偶者、(2)本人の父母、(3)配偶者の父母、(4)子供、(5)祖父母、(6)兄弟姉妹、(7)孫です。現行制度では(5)(6)(7)を対象家族として介護休業給付金を受給する場合、同居していることが条件でしたが、改正後は同居要件が撤廃されます。

Profile

答える人
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)

立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、派遣社員双方に生じやすい法的問題に詳しい。2007年より派遣元責任者講習講師を務める。

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