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労働者派遣法改正案、注目される5月の衆院審議と6月の参院審議―「9月1日施行」へ向け動き加速 ―

規制のかけ方を抜本的に見直す労働者派遣法改正案が審議入りしました。6月中旬とみられる成立から施行までの流れをひと足早くお伝えするとともに、同時並行で走り出している「派遣法」に関連する他の動きについてご紹介します。

規制のかけ方を抜本的に見直す労働者派遣法改正案が、5月12日に審議入りしました。6月中旬とみられる成立から施行(9月1日予定)までの流れをひと足早くお伝えするとともに、同時並行で走り出している「派遣法」に関連する他の動きについて整理します。いずれにしても、改正法案に反対、あるいは消極的な野党やマスメディアなどがそれぞれの論調を激しく展開してくると見込まれ、正確な情報の見極めが必要となります。

改正法案の内容やポイントは、前回までの「10月22日発行 Vol.22」や「2月26日発行」などのニュースレターをご参照ください。さて、審議入りした与野党対決法案の派遣法改正案は、審議の入り口はもちろん、出口である参議院通過(成立)までの日程感と、9月1日施行を念頭にした成立後の動きが重要となります。

政府・与党、および国対幹部などによると、12日に衆議院本会議(以下、「衆院本会議」という)で塩崎恭久厚生労働大臣(以下、「厚労相」という)による趣旨説明と与野党計5人の登壇形式による質疑が行われましたが、その後は、衆議院厚生労働委員会(以下、「厚労委」という)に付託され、本格審議へと移ります。

安倍晋三首相(以下、「安倍首相」という)の出席できる委員会の開催日を1日だけ調整し、それを終えるとその次の厚労委で採決。賛成多数で可決され、衆院本会議を通過して、5月下旬に参議院(以下、「参院」という)での審議入りを描いています。参院でも、同様の手順を踏み、6月中旬までの可決・成立を目指します。

これでも、「9月1日施行予定」を前提にするとタイトなスケジュールであり、成立直後から政省令を決める労働政策審議会(以下、「労政審」という)労働力需給制度部会(公労使の三者で構成される厚労相の諮問機関)を5回程度開くことになります。それを踏まえると、駆け足で7月が終わり、施行1カ月前の8月に入ります。

上記の日程感ですが、国会は「生もの」です。昨年は4月下旬に「法案条文の誤記問題」もありました。さすがに、昨年の通常国会、昨秋の臨時国会での廃案を経て、「3度目の正直は固い」と国会内では言われ始めていますが、引き続き動向をつぶさにウォッチし、役立つ情報を正確かつ迅速にお伝えしてまいります。

改正法案の政府の目的、法案成立後の労政審の主な内容

労政審では、法案の土台となった昨年1月29日の労政審の意見書(建議)や、国会で改正法に盛り込まれる公算が大きい数項目にわたる「付帯決議」も重視しつつ、主に日雇い派遣の例外規定の「属性の例外」における現行の「世帯年収500万円以上の人」に関する金額設定のあり方や、政令26業務の経過措置の有無などが議論されるもようです。
さらに、報道では法案に反対する側の主張が大きく取り上げられる傾向にありますが、政府・与党の狙っている効果やメリットとは――。法案文や記述された説明文では分かりにくい部分もありますので、これまでの政府中枢の発言を用いてかみくだくと、「自らの働き方として、派遣を積極的に選択している人については待遇を改善する方法などを図るとともに、正社員を希望する人についてはその道が開かれるようにする。働きたいと希望するあらゆる人が社会で活躍の場を目指せるよう柔軟で多様な働き方が可能となる」(安倍首相)ということです。

また、安倍首相は「派遣就労への固定化を防ぐための措置も強化している。従って『生涯ハケン法案』や『正社員ゼロ法案』の指摘はまったく当たらないし、そういうレッテル張りは不毛な議論。それぞれが柔軟な働き方をできるようにすることで自己実現が図れる仕組みをつくっていくことが政治の責任だ」と強調しています。

労働者派遣法トピックス
「みなし制度」の通達内容で労政審労働力需給制度部会 厚生労働省に指摘と質問が集中

労政審職業安定分科会の第220回労働力需給制度部会(鎌田耕一部会長)が4月24日開かれ、現行法で今年10月1日施行が明記されている「労働契約申込みみなし制度」について、事務局の厚生労働省(以下「厚労省」という)が「法の趣旨及び行政解釈」を示しました。

この解釈は、厚労省の通達文書となるだけに重要で、労使とも周知のために早期の通達を求める一方、「民法上の解釈に踏み込み過ぎる部分がある」、「通達とは別に、『社会通念上とは具体的にどんな範囲か』といったQ&Aを作成しては」などと、事務局に指摘と質問が集中。予定していた審議時間が足りなくなったため、次回会合で労使から挙がった質問などに回答し、通達への手順を踏む格好となりました。次回の開催は、は5月18日以降です。

「みなし制度」は、民事的効力を有する規定で、その効力が争われた場合に個別具体的に司法判断されるものです。違法派遣の是正を目的として創設され、善意無過失の場合を除き、違法派遣を受け入れた者(派遣先)にも責任があり、そこに一定のペナルティ(民事上の措置)を科すことで法規制の実効性を確保しています。しかし、民事上の司法判断の乱発に発展しないよう行政解釈を定義することも監督官庁の役割であり、今回示された「行政解釈」に関係者の注目が集まっていました。

厚労省が作成した「法の趣旨及び行政解釈」は、「制度の趣旨」と「論点」で構成され、後者の中で(1)申し込みを行ったとみなされる時点、(2)申し込んだとみなされる労働条件の内容、(3)労働契約の成立の時点、(4)複数の事業主が関与する等の複雑な事案――の4項目に分類し、さらに、それぞれの解釈をまとめました。

民事上という特性から難解かつ「あいまいさと踏み込み過ぎ」が混在する点も見受けられ、労働者側委員からは「労働契約の成立の時点のところに記してある『公序良俗』との表現は削除すべき」、「無許可、無届の事業者が違法派遣をしていた場合の派遣労働者の直接雇用を申し出ることができる派遣先の選択の担保を明確に」などの指摘が相次ぎ、次回までに厚労省からの回答待ちとなるものもありました。

一方、使用者側も必ずしも明瞭でない内容に、民事上の理解を一定程度示しつつも「混乱回避がひとつの役目でもあるのであれば、例えば社会通念上という定義や範囲を具体的にどう見ているのか、例に挙げたものは別としても通達以外のQ&Aを作成、配布することも検討しては」といったアドバイスも出ました。

今回示された内容は、さらに分析、解釈の読み方が必要ですので、次回の会合を踏まえて今後ポイントを整理していきたいと思います。

労働者派遣法トピックス
「平成24年法」見直し議論も開始― 労政審需給制度部会 ―

労政審職業安定分科会の第219回労働力需給制度部会(鎌田耕一部会長)は3月26日の会合で、現行の労働者派遣法(平成24年改正法)に関連する見直しの検討に入りました。今回の派遣法の見直し議論は、今国会で審議予定の改正法案の動きとは別で、現行法の施行(2012年10月)から一定期間を経たところで蓄積した施行状況の情報などを基に「見直しについて引き続き検討する」(2014年1月29日の労政審建議)と明記されていることを受けた対応です。

「平成24年改正法」については、施行後に蓄積された情報を基に、日雇い派遣の原則禁止に関連する年収要件の見直しや、労災防止などについて検討を進めることにしています。しかし、現在、国会で審議予定の派遣法改正案が成立すれば、それに伴う政省令などの審議が優先される見通しで、どの程度、見直しの議論が深められるかは流動的です。
また、この日は、今国会に提出された派遣法改正案が同部会の審議を経ないまま、与党による修正項目が加えられて国会提出されたことから、労働者側委員から「労政審の軽視ではないか」と強い反発が出ました。厚労省は「建議の範囲内の修正と判断した」とかわしています。

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