組織 アンケート調査 働き方 働く女性のがん治療と仕事に関する実態調査

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がんと診断された働く女性を対象に、治療と仕事に関するアンケート調査を実施したところ、半数以上が「仕事への影響」を不安に感じていることが明らかになりました。

調査対象:5年以内にがんを罹患し入院経験がある20代~50代の女性200人(診断時に正社員、現在も何かしらの形で就業中)
調査方法:インターネット調査
調査実施時期:2017年7月21日~31日

Q1. がんと診断されたとき、どのようなことが不安・心配になりましたか

Q1.がんと診断されたとき、どのようなことが不安・心配になりましたか 仕事への影響56.5% 家族への影響43.0% 治療による体調の変化42.5%
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仕事への影響56.5% 家族への影響43.0% 治療による体調の変化42.5% 治療費の工面38.0% 家計の維持35.5% 治療による外見の変化34.0% 出産への影響21.5% 結婚への影響14.0%(n=200、複数回答)

がんと診断されたとき、働く女性の不安は「仕事への影響」が最多。「家族への影響」や「治療による体調の変化」を上回る

がんと診断されて不安になったことについて、半数以上が「仕事への影響」(56.5%)を挙げており、「家族への影響」(43.0%)や「治療による体調の変化」(42.5%)を上回る結果となりました。働き盛りの20~50代の女性にとって、従来通りのパフォーマンスを仕事で発揮できるかどうかは、大きな不安要素といえます。

Q2. がんと診断されたことを、自ら勤務先の誰に伝えましたか

直属の上司92.5% 同僚44.5% 先輩社員36.0%
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直属の上司92.5% 同僚44.5% 先輩社員36.0% 後輩社員17.5% 人事担当者16.0%(n=200、複数回答)

がんの診断を「直属の上司」に報告した人は9割。同僚や先輩・後輩への報告は半数を下回る。

がんと診断されたころを自ら伝えた相手について質問したところ、圧倒的に多くの働く女性が「直属の上司」(92.5%)と回答しました。次いで、同僚に伝えたのは44.5%で、全体の半数を下回りました。ほとんどの女性が直属の上司には伝えていることから、上司が主導して、病状や治療の個別性に配慮した組織マネジメントを行うことが望まれます。

Q3. がん治療と仕事を両立できた理由は何ですか(いくつでも)

職場の上司・同僚・部下等の理解・協力があったから64.0% 家族の理解・協力があったから53.0% 給与がほぼ維持できたから36.5%
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職場の上司・同僚・部下等の理解・協力があったから64.0% 家族の理解・協力があったから53.0% 給与がほぼ維持できたから36.5% 労働時間や勤務場所が柔軟だったから32.5% 残業がない(少ない)働き方だったから28.0%

がん治療と仕事を両立できたのは、「職場の上司・同僚・部下等の理解・協力があったから」

治療と仕事を両立できた背景として、半数以上が職場や家族の理解・協力を挙げており、給与の維持や柔軟な働き方の容認を大きく上回る結果となりました。がん治療と仕事の両立支援に向けて、制度の整備や運用は必要な一方、一緒に働く仲間など身近な存在からの理解や協力が大切であることがうかがえます。

Q4. がんと診断された以降も、仕事を続けた目的は何ですか(いくつでも)

家計を維持するため74.0% 治療費を工面するため35.5% 働くことに喜びや生きがいを感じるため28.5%
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家計を維持するため74.0% 治療費を工面するため35.5% 働くことに喜びや生きがいを感じるため28.5% 社会との接点を持ちたいため26.0% 職場で必要とされているため22.5%

がん診断後、就労を続けた目的は「家計の維持」。
金銭だけではなく、「生きがい」や「社会との接点」を目的とする声も。

仕事を続けた目的を聞いたところ、最も多くの働く女性が「家計を維持するため」(74.0%)と回答しました。3割以上が「治療費を工面するため」(35.5%)と回答していて、金銭的な事情を考慮して、仕事を継続した人は少なくありません。一方で、「働くことに喜びや生きがいを感じるため」(28.5%)、「社会との接点を持ちたいため」(26.0%)といった声も見受けられました。

Q5. がんと診断されてから、仕事に対する姿勢や考え方は変わりましたか

変化した36.5% 変化は無い47.5% わからない16.0% 具体的な変化の内容(自由回答)前倒しで進めるようになった・無理をせず、他の人に頼めるものは頼むようになった・仕事よりも、健康第一で考えるようになった・仕事中心の生活にならないよう、他の時間を楽しく過ごしたいと思うようになった・働き続けられることに感謝した
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Q. がんと診断されてから、仕事に対する姿勢や考え方は変わりましたか

変化した36.5% 変化はなかった47.5% わからない16.0%(n=200、単数回答) 具体的な変化の内容(自由回答) 業務の進め方 「前倒しで進めるようになった」(30代)「きちんと自己管理をしながら仕事に取り組むようになった」(40代)「急に休んでも周りに引き渡せるような進め方を意識するようになった」(40代)「無理をせず、他の人に頼めるものは頼むようになった」(40代) ワークライフバランスへの意識「仕事よりも健康第一で考えるようになった」(50代)「仕事中心の生活にならないよう、他の時間を楽しく過ごしたいと思うようになった」(50代) 働くことへのモチベーション「限りある人生なので、やりがいのある自分の求める仕事をしようと思うようになった」(20代)「働き続けられることに感謝した」(40代)「社会に貢献できるような仕事がしたいと思うようになった」(40代)

がんと診断以降、3人に1人は「仕事に対する姿勢や考え方が変化」。具体的には「業務の進め方」、「ワークライフバランスへの意識」、「働くことへのモチベーション」に関する変化が目立つ

がんの診断以降、仕事に対する意識の変化の有無については、3割以上が「変化した」(36.5%)と回答しました。なかには、がんの罹患を経て働くことへの意欲が高まったという女性もいるため、一方的に業務量を減らすのではなく、本人の希望を尊重することも重要になると考えられます。