グローバル レポート アンケート調査 人財 日本の人財競争力は世界22位。人財競争力調査レポート 「Global Talent Competitiveness Index(GTCI)2017版」

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GTCI 概要・調査結果

「Global Talent Competitiveness Index(GTCI)」とは、人財の質に基づいた各国の競争力を測定したグローバルの調査レポート。「いかにその国が人財を育成し、成長させるか。また、人財を呼び込む魅力を有するか」などの6つの指標で評価する。1位と2位には、スイスとシンガポールが4年連続でランクイン。上位の国々は、経済のニーズに合致した教育システム、柔軟性や流動性そして起業家精神を重視する雇用政策、業界や政府のステークホルダーのつながりなどの共通点が見られた。日本は前回の19位から22位に順位を下げた。「Enable(活用)」は5位だったが、「Attract(人財に対する国の魅力度)」は51位で、総合順位を下げる要因となった。「Attract」を構成する評価指標のうち、特に評価が低かったのは「男女の平等」で、「女性の大学院卒業者」が82位、「男女の賃金格差」が63位、「女性に対するビジネスチャンス」は90位という結果だった。また、上位40カ国が対象の「新技術に対する人財の充実度」では10位となった。

総合評価―スイスと日本の違い ① Enable ② Attract ③ Grow ④ Retain ⑤ Vocational and Technical Skills ⑥ Global Knowledge Skills 全ての項目でスイスが日本を上回っている

GTCI 6つの柱

  1. Enable
    外部環境要因。政治の安定、政策などの規制要因、競争環境、労働市場の柔軟性、イノベーションを生み出すに適した環境かどうかなど
  2. Attract
    人財に対する国の魅力度。国外からの直接投資、人財、企業の参入のしやすさなどの対外開放性、国内での人財の移動のしやすさ、多様性など
  3. Grow
    人財開発のための方策。大学の質、留学生の受け入れ状況、教員と学生の比率、ビジネスマンのスキル育成の環境、ネットワーキングの状況など
  4. Retain
    人財を国内に維持するための方策。税制や年金制度の整備状況、治安など生活する上での環境など
  5. Vocational and Technical Skills
    基礎スキル、職業専門スキル、労働生産性。職業・専門訓練を受けている人財、技術者がどの程度いるか、若者の雇用状況など
  6. Global Knowledge Skills
    グローバルな知識スキル。高いスキルを持つナレッジ・ワーカーがどの程度いるか、そういった人財によるイノベーションや起業の状況など

調査結果によって明らかになった、上位国の傾向

1.オートメーションの範囲を超えて考えることが必要
現在、テクノロジーによるオートメーション化以外でも、社会、組織、キャリア、教育、雇用などで変革が進んでいる。組織はよりフラット化して相互につながり、成果や協力が権威や上下関係より重要になるだろう。また、複数のキャリアを持つことが標準となる。意思決定者には、これらのことを考慮することが求められる。
2.テクノロジーが仕事の本質を変えつつある
専門的なスキルを持つ人財は、テクノロジーの進歩により、革新的で創造的な事業に参加する機会が増える。欧米の人口のほぼ30%が、従来の給与に基づく雇用環境から、フリーエージェントの環境に移行しつつある。この変化は社会の枠組みに大きく影響しており、柔軟性が今後の鍵となる。
3.イノベーションには「ソーシャル/プロジェクト」能力が不可欠
イノベーションには、人財同士が今まで以上に協力することが不可欠。今後は、テクノロジーのスキルに加えて、「ソーシャル」と「プロジェクト」のスキルが重要になる。また、複数のキャリアを持つ時代では、生涯を通じて学ぶ姿勢が大切になる。
4.第4次産業革命に適応する教育システムと雇用政策が必要
教育システムの迅速な改革や、労働市場の柔軟性と社会的保護を結びつける雇用政策が必要。
5.ステークホルダー同士の連携が改革成功の鍵
デジタル化と自動化の推進には、政府、企業、教育機関などの密な協力が必要。そうした協力関係は、大国より、都市や地域で実現しやすい。
6.都市ごとの人財競争力の傾向
グローバルな情報ネットワークの拡大により、あらゆる人財が質の高い生活と、国際的に活躍できる機会やキャリアを望める都市に集まる。世界各地の都市や地域で、人財を獲得し、維持するための戦略が活発化している。

〈調査対象〉
世界人口の83.8%および世界のGDPの96.2%を占める118カ国

〈評価内容〉
指標は、人財競争力の「アウトプット」である2つの柱(VT Skills、GK Skills)と「インプット(Enable、Attract、Grow、Retain)」。それぞれのスコアを加算平均し、国際人財競争力指数を算出しランキングする

〈調査機関〉
INSEAD(フランス、シンガポール、アブダビに拠点を構えるビジネススクール)
ヒューマンキャピタル・リーダーシップ研究所(HCLI)
Adecco Group