Q38 労働契約法の無期転換権の発生時期

給与計算業務のため月の前半だけ雇用しているパートタイマーでも労働契約法第18条の無期雇用転換権が生じるのでしょうか。

通算契約期間が5年を超えれば、所定労働日数にかかわらず無期雇用転換権が発生します。2013年4月1日から1年間の有期労働契約で毎月1日から15日の平日を所定労働日としている場合、5年を超える2018年4月以降契約を更新すると無期雇用転換権が発生します。一方、毎月1日から15日の15日間の有期労働契約を反復更新している場合、10年後の2023年4月以降に無期雇用転換権が生じます。
労働契約によって無期雇用転換権が発生する日が異なる理由は、通算期間に関する基準を定める省令(厚生労働省令第148号)で「有期労働契約の契約期間に1月に満たない端数がある場合はこれらの端数の合算については、30日をもって1月とする」とされているからです。労働契約の存続期間の計算は暦で行うことが原則のため、5月16日から6月15日の有期雇用契約であれば、これを1カ月としますが、1回15日間の有期労働契約は、1カ月に満たないため契約期間を足し上げて30日になったところで1カ月として取り扱います。1回15日間の契約は、2回で1カ月となるため上述の例では無期転換権の発生に10年を要します。

入社、退社を繰り返し労働契約のない期間が途中に含まれる場合、次の通り、労働契約の存続する期間だけを通算対象期間とし、1カ月に満たない端数は、30日で1カ月とします。

  • 労働契約期間1  2013年4月1日~2016年7月20日  3年3カ月20日
  • 労働契約期間2  2016年9月1日~2018年4月20日  1年7カ月20日
  • 通算契約期間   4年10カ月40日=4年11カ月10日

労働契約の存続により判断するため、育児休業や病気休職のように勤務していない期間でも労働契約が途切れない場合、通算契約期間に含まれます。そのため、育児休業中に無期転換権が発生することも想定されます。もちろん、育児休業中という理由で無期転換の申し込みを拒否することはできません。

POINTクーリングは1カ月以上

労働契約がない期間が6カ月以上ある場合、前後の労働契約を通算しないクーリング期間制度は、契約期間が1年未満の場合、通算対象期間の半分の期間でクーリングになりますが、通算対象期間が2カ月以下の場合は1カ月以上とされているため、上述の15日契約でもクーリング期間は1カ月以上となります。

Profile

答える人
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)

立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、派遣社員双方に生じやすい法的問題に詳しい。2007年より派遣元責任者講習講師を務める。

関連記事

お役立ち情報 に戻る

人材に関するお悩みがございましたらお気軽にご連絡ください