Q19 派遣先組織再編の場合の抵触日再設定

派遣社員を受け入れている新宿支店と三鷹支店を統合して西東京支店とする場合、受け入れ期間制限はどのように設定されるのでしょうか。

事業所単位の抵触日は、西東京支店として新たな期間制限を設定せずにこれまでの抵触日を引き継ぐことになります。新宿支店と三鷹支店で抵触日が異なる場合、期間の到来が早い抵触日を引き継ぎます。例えば、新宿支店の抵触日が2018年10月1日、三鷹支店の抵触日が2019年1月1日とすると、早く到来する新宿支店の抵触日を西東京支店の抵触日とします。

事業所の統合だけではなく、法人の合併、譲渡の場合も同様に事業所単位の期間制限は、組織構成や業務内容、および指揮命令系統の変更等にかかわらず、元の派遣先の抵触日が統合先に引き継がれます。改正労働者派遣法に関するQ&A第3集では、事業所統合等の際の注意点として、受け入れ期間の延長を行わずに抵触日を迎えた事業所との3カ月以内の統合をあげています。延長せずに抵触日を迎えると3カ月を超える期間(いわゆるクーリング期間)、有期雇用派遣労働者の派遣を受け入れることができなくなります。統合直後に適用される抵触日が、この受け入れできない3カ月間にあたってしまう場合、当然ながら派遣社員を受け入れることはできなくなります。

POINT個人単位の抵触日の変更

事業所の統合等に伴う個人単位の抵触日の変更は、派遣先の組織構成、業務内容、および指揮命令系統の変更の有無で判断します。3つ要素に変更がない場合、統合等の前の抵触日を引き続き適用します。3つの要素のいずれかが変更された場合でも実質的に組織単位に変更はないとみなされる場合は、統合等の前の抵触日を引き継ぐとしています。実質的に変更されたか否かの具体的判断基準は示されていないため、その都度検討する必要がありますが、事業所統合を利用して個人単位の抵触日を恣意的に変更するようなケースは、統合前の抵触日を引き継ぐことになると思われます。

Profile

答える人
社会保険労務士 中宮 伸二郎 (なかみや しんじろう)

立教大学法学部卒業後、流通大手企業に就職。2000年社会保険労務士試験合格し、2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。労働法に関する助言を通じて、派遣元企業、派遣社員双方に生じやすい法的問題に詳しい。2007年より派遣元責任者講習講師を務める。

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