「労働者派遣法」の改正から3年が経過。
最も注意したいのは「抵触日」コラム

2015年に改正された「労働者派遣法」。すべての業務で2つの期間制限が設定され、どちらも上限3年というルールで運用されることになりました。

2018年9月30日から順次抵触日を迎えていますが、改正派遣法施行以前より締結している派遣契約については、施行日以降に新たに派遣契約を締結するまでは改正前の派遣法が適用されるという経過措置もあり、2019年1月以降が抵触日となる派遣社員も多く見られます。労働者派遣の受け入れが適正に行われるよう、改めて確認や手続きが必要となっています。

気をつけるべきは、2つの期間制限による「抵触日」。業務に影響するばかりか、法違反になってしまうこともあります。ここでは抵触日を中心に「労働者派遣法」の改正から3年経った今、気をつけなければいけないことをアデコで法務にかかわる業務にあたる永井延子がお話します。

事業所単位と個人単位。2つの期間制限が存在

――まずは、前回の改正で制定された点について改めて教えてください。

永井:改正前の派遣法では「専門26業務」*とされる業務には派遣契約の期間制限がなく、これらの業務への労働者派遣か否かによって期間制限が異なっていました。しかし制度自体がわかりにくく、現場が混乱するということから労働者派遣法が見直されることになり、2015年に法改正が施行されたのです。

施行日である2015年9月30日以降に締結、更新された労働者派遣契約に基づく労働者派遣には、期間制限をわかりやすくするという趣旨から、すべての業務で「事業所単位」と「個人単位(組織単位ともいう)」の2つの「受入れ期間制限ルール」が適用されることになりました。どちらの期間制限も3年となります。

しかし、2015年9月30日以降に新たに派遣契約を締結するまでは、改正前の派遣法が適用されるという経過措置が取られました。例えば、2016年3月31日までの契約を法改正前の2015年9月29日までに締結している場合、改正法の適用は2016年4月1日からとなり、事業所単位、および、同一の組織単位で継続して働いていた場合の個人単位の抵触日は2019年4月1日となります。経過措置を適用されている派遣社員はこれから抵触日を迎えることになります。

  • *専門26業務…書籍等の制作・編集やソフトウェア開発、アナウンサーなど専門的知識や技術が必要とされる業務。改正法以前は派遣期間の制限がなかった。

事業所単位の期間制限

個人単位の期間制限

――事業所単位と個人単位はどう違うのでしょうか。

永井:事業所単位の期間制限では、原則として同一の事業所にて3年を超えて派遣を受け入れることはできません(ここでの事業所とは、雇用保険の適用事業所と同じ定義となります)。ですが、派遣先の事業所の過半数労働組合等からの「意見聴取」をしたうえであれば、3年を限度として派遣可能期間を延長することができます。労働組合がない場合は、派遣先の事業所の労働者を代表する人に意見聴取を行います。

――では、個人単位の期間制限についてはどうでしょうか。

永井:同じ派遣労働者の同じ組織単位(いわゆる「課」や「グループ」)への派遣は3年が上限となりました。つまり、同じ派遣労働者は3年を超えて同一の組織単位にて派遣を受け入れることはできないので注意が必要です。なお、3年という期間制限は、派遣元が変更されている場合も通算されるため、派遣先で個人単位の3年も管理する必要があります。

ただし、組織単位が変更になった場合(同一の派遣先にて違う組織単位の仕事があり、派遣元がその派遣労働者を就業させる場合)は、同じ派遣労働者がそれまでと同じ派遣先で継続して働くことが可能です。

「抵触日」と「意見聴取」には要注意

――受入れ期間制限ルールにおいて、人事担当者が気をつけなければいけない点はなんでしょうか。

永井: 気をつけていただきたいのが「抵触日」です。抵触日とは、法律に触れる日。その日に派遣を行っていてはいけません。2015年9月30日以降に締結された労働者派遣契約の初日を起算日とし、3年後の同日を抵触日としています。事業所単位であれば、抵触日の前日まで派遣労働者を受け入れることができ、個人単位であれば、抵触日の前日まで同一の派遣労働者、同一の組織単位で派遣契約を締結することができます。

派遣先が、同一の事業所において3年を超えて派遣を受け入れようとする場合は、延長しようとする派遣可能期間が終了する1カ月前までに、事業所の過半数労働組合等から意見聴取の手続きを取る必要があります。

――抵触日について、人事担当者が行わなければいけないことはなんでしょうか。

永井:事業所が意見聴取の手続きを終えて期間制限を延長し、その抵触日通知をもって新たな派遣契約を締結するという法律ですので、抵触日が決まらないと我々派遣元も契約を交わすことができません。派遣可能期間をすみやかに延長するためにも、また抵触日に触れないためにも、事業所における現在の派遣可能期間が終了する1カ月前までに意見聴取の手続きを行い、新たな抵触日を決めるようにしてください。

無期雇用と60歳以上の派遣労働者は期間制限の対象外

――これまで伺ってきた3年の期間制限は、すべての派遣労働者に適用されるのでしょうか。

リーガル&コンプライアンス本部
コンプライアンス推進課 課長
永井 延子

永井:期間制限の対象外があります。派遣元で無期雇用されている派遣労働者と60歳以上の派遣労働者は、事業所単位、個人単位のどちらの期間制限も対象外となり、同一の組織単位で継続して派遣労働者として働くことが可能です。派遣先での手続きは必要ありません。アデコでは有期雇用派遣で働く方を積極的に無期雇用で迎え入れているため、同一の組織単位にて無期雇用派遣労働者として継続して働くケースが多くあります。働いていただく派遣労働者にとっては雇用の安定になり、派遣先側としては業務になれた方に効率や成果を下げずに長く働いてもらえるというメリットは大きいのではと思います。

2019年4月から、いよいよ「働き方改革関連法」が順次施行されます。それにより、労働者派遣法も変わらざるを得ません。アデコは今後もさまざまな時代の変化に迅速に対応し、派遣先企業様の人事の課題解決に役立てるサービスをご提供してまいります。

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