人材派遣を利用するメリット、活用にあたっての注意点は?
人材派遣オーダー事前チェックシート付人事ノウハウ

公開日:

企業が必要としているスキルを持つ人材を、必要なときだけ活用できる人材派遣。正社員採用に比べて短期間で人手を補充できるため、近年利用ニーズが高まってきています。この記事では有期雇用派遣、無期雇用派遣、紹介予定派遣の3つの形態について、それぞれのメリットや活用方法をアデコ株式会社 首都圏西事業本部 本部長の柳 修一が解説します。

人材派遣には大きく分けて3つの形態がある

人材派遣と呼ばれる形態は大きくカテゴリー分けすると有期雇用派遣、無期雇用派遣、紹介予定派遣の3つに分けることができます。まずはこの3つの形態についてどのような違いがあるのかをみていきましょう。

①有期雇用派遣とは?

一般的な人材派遣のことで、企業が必要とする期間だけ人材派遣会社と派遣社員が雇用契約を結ぶことから有期雇用派遣と呼ばれます。企業と派遣社員には直接の雇用関係はなく、人材派遣会社と派遣契約のもと業務指示を行います。

②無期雇用派遣とは?

無期雇用派遣とは、仕組みは有期雇用派遣と変わりませんが、人材派遣会社と派遣社員が無期雇用契約を結んでいるのが違いです。企業と人材派遣会社が無期の派遣契約を結ぶものではないので注意しましょう。労働者派遣法の改正により派遣社員が同じ職場で3年を超えて働く場合には雇用安定の措置を実施することが義務付けられたことから注目され始めています。

③紹介予定派遣とは?

直接採用することを前提にして、最長6カ月の派遣期間中に人材の能力、資質、適性を見極めて正式に採用するかどうか検討できるのが紹介予定派遣です。派遣期間終了後、双方の意向を確認して正式に採用・不採用が決まります。直接採用が前提のため、上記2つの人材派遣と違い、書類や面接による選考を行うことができます。

3つの人材派遣のメリットと注意する点

人材派遣の3つの形態について、それぞれのメリットと注意点をみていきましょう。

  メリット 注意点
有期雇用派遣 業務量の変動に合わせた契約が可能
人件費を変動費化できる
即日〜2週間程度で就業可能
3年を超えて同じ派遣社員を活用できない
就業前に面接ができない
無期雇用派遣 有期雇用派遣のメリットに加え、
期間制限の影響を受けない
モチベーションの高い人材が多い傾向
有期雇用派遣に比べコストがかかる
就業前に面接ができない
紹介予定派遣 実際の勤務状況を見て採用できるため、雇用後のミスマッチを防げる 直接雇用前に派遣のコストがかかる
求職者がすでに離職した方が対象

有期雇用派遣のメリットと注意点

  • メリット
    有期雇用という契約の性質上、業務量の変動に合わせた契約が可能になります。また、本来固定費であるはずの人件費を変動費化できる点もメリットです。最近では、雇用リスクを減らすために、直接採用ではなく、長期の定型業務であっても人材派遣を利用するケースもあります。
    現在は、中小企業を中心に人材の採用が難しい人手不足の時期です。正社員が採用できないので、有期雇用派遣を活用しているという企業もあります。人材派遣の場合、人材紹介までのスピードが即日〜2週間程度で、業務も早く始められるので、早期の着任を希望する企業には有効です。
  • 注意点
    依頼内容によってはすべてのニーズに該当する人材がいなかったり、即戦力の人材確保が難しい場合もあります。また、同じ派遣社員を同一の組織に3年以上派遣することができないので、同じ人を長期に派遣することには対応ができません。
    有期雇用の場合は、派遣の採用をする際に面接ができない、契約の際に事前に提示した内容の業務しか依頼できないということも覚えておきましょう。

無期雇用派遣のメリットと注意点

  • メリット
    最大のメリットは、労働者派遣法の個人の期間制限がなくなるので、同じ派遣社員を長期間受け入れることが可能になることです。
    無期雇用派遣の場合でも企業との契約はあくまで有期となります。そのため、上記の有期雇用派遣と同様、業務量の変動に合わせた契約が可能になるというメリットもあります。さらに、派遣元が無期雇用していることから、派遣社員の定着やスキル習得におけるモチベーションが高い傾向にあります。
  • 注意点
    有期雇用派遣に比べるとコストが10〜20%高くなりますが、安定して派遣社員を受け入れることができます。
    無期雇用派遣という特性上、定着率やスキルの高い派遣社員が多く登録している傾向にはありますが、必ずしも有期雇用派遣よりも派遣社員の能力が優れているとは言い切れません。有期・無期の仕組みを理解し、長期でのスキルの習熟が必要なのかなど、しっかりと業務内容を見極めたうえで活用するようにしましょう。

紹介予定派遣のメリットと注意点

  • メリット
    紹介予定派遣は、最初から直接採用を目指すものなので、ほかの2つとは目的が違います。実際に勤務している状況を見てから、採用するかしないかの判断をできることが最大のメリットです。
    このサービスを利用することで、雇用後のミスマッチを防げます。直接採用のチャネルは、人材紹介会社や、求人広告、企業の直接採用などがありますが、それらよりも紹介から決断までのスピードが速い可能性もあります。雇用する側もされる側もお互い何カ月か試せて、企業は採用リスクを軽減できます。採用力が弱い会社でも入社してもらえる可能性がアップします。
  • 注意点
    直接採用の前に派遣として就業するのでコストがかかります。
    紹介予定派遣は、ほかの会社に勤務しながらではできないので、求職者のカテゴリーがすでに離職した方が対象となり、在職中に転職活動をする層とは若干性質が異なります。また、収入や待遇など雇用条件について最初にしっかり条件提示を行っておきましょう。条件をはっきりさせておかないと後でトラブルになる可能性もあるので、要注意です。

ケース別:3つの派遣形態の活用法

どんな場合に、どの派遣形態が合うのでしょうか?企業ではどのように活用されているのか、ケース別にみていきましょう。

有期雇用派遣の活用ケース

有期雇用派遣には、以下のような場合での活用が考えられます。

  1. 業務繁忙時期にだけ利用したい
    一時的な繁忙期間や、月末・月初、決算期など、年間のなかで業務が集中するときに、人材を短期で確保することができます。
  2. 新規ビジネスの受注により、一定の人材を確保したい
    新規ビジネスを受注したり、新規事業立ち上げにかかる大きな労力を、有期雇用派遣による人材確保でカバーできます。1年間限定などの業務などでも、素早く人を確保することができます。
  3. 通常業務を派遣スタッフに任せたい
    マニュアル化ができる通常業務を派遣スタッフに任せられるようになると、正社員は雑務に追われることなくコアな業務に集中できるようになります。正社員を増やさないので雇用リスクをおさえることができます。
  4. 中小企業などで自力採用が難しいので派遣を利用する
    中小企業は大企業に比べると採用力が弱く、とくに新卒採用では思うような採用活動ができません。直接採用が難しい中小企業にとって人材確保の手段のひとつとなります。
  5. 即戦力が必要で、スキルの高い人を探している
    有期雇用派遣は、即戦力となる専門性を身につけた人材が豊富。通訳、翻訳、ITエンジニアなど高いスキルを持つ人を派遣で利用することができます。

無期雇用派遣の活用ケース

無期雇用派遣には、有期雇用派遣の1.〜4.に加えて、以下のような場合での活用が考えられます。

  1. 同一人物を長期で雇用したい
    有期雇用派遣だと3年超の場合は派遣のままで働いてもらえなくなるので、無期雇用派遣にすれば継続活用ができます。若い人を育てて長期的に活用することもできます。
  2. 派遣の定着を高めたい
    無期雇用派遣は3年を超えても継続活用ができるので、重要な仕事や責任のある仕事を任せられるケースがあります。そのため、有期雇用派遣よりも無期雇用派遣のほうが定着率は高くなる傾向にあります。
  3. よりスキルの高い人材を長期で活用する
    無期雇用派遣では安心してスキルアップできる環境が整っている場合があるので、ワンランク上のポジションの人材が多い傾向にあります。

紹介予定派遣の活用ケース

紹介予定派遣には、以下のような場合での活用が考えられます。

  1. いきなり正社員採用するのは怖いので、派遣期間中に見極めたい
    採用してもすぐに辞める、採用はしたものの思っていた人材と違うなどのミスマッチが防げます。正社員を1〜2名しか採らない中小企業の場合、採用に失敗すると大打撃になってしまいます。そんなときには紹介予定派遣の活用がおすすめです。
  2. 自社での採用活動がうまくいかないので利用する
    ブランディングが確立していない会社の場合、社会に広く会社の魅力を伝えるのが難しくなります。しかし、派遣会社が間に入ることで、その会社のさまざまな情報を人材派遣会社を通じ直接派遣社員に伝えることができます。
  3. 採用チャネルを増やすために利用する
    自社募集・人材紹介・紹介予定派遣の3つの採用チャネルを併用して、その中でいい人がいたら考えようという企業もあります。それぞれのチャネルによって応募してくる人材の属性が違ってくるため、戦略的に複数のチャネルを併用することも一案です。

人材派遣を上手に活用するコツ人材派遣オーダー事前チェックシート付

近頃は景気が上向きになってきて、企業では人手不足の状態が続いています。そのような状況の中では、次のことを踏まえて派遣を上手に活用しましょう。

  • 派遣会社をしっかり選ぶこと
    営業担当者がどこまで自社に興味を持ってくれているのか、会社の事情をしっかりと理解してアドバイスしてくれているのかを見て判断しましょう。単なる御用聞きではなく、少し口うるさいくらい意見をしてくれる営業担当がいる派遣会社のほうがいいでしょう。
  • 企業がほしい人材のイメージだけで探すのではなく、職場に今いる人材を中心に考えること
    現場の社員がどんな派遣社員だったら受け入れやすいかどうかも判断して検討しましょう。
  • お金の面では妥協しないこと
    派遣社員の給料を下げないことは大事です。世の中で適正と思われる給料レベルを派遣社員に支払ってもらうためになぜその金額なのかを確認しましょう。仮に交渉し値下げがうまくいったとしても、人材派遣会社が派遣社員の給料を下げてしまうと、人が来ない、人が来てもよい人ではない、人が来てもすぐ辞めるということが起こり、リスクが高くなります。
  • 条件の幅を広げて試してみること
    これまでは採用しなかった年齢層やワークスタイルなどで試しに働いてもらうと、新たな気づきになるかもしれません。

派遣にかかわらず自社の採用力と定着率を高める意識を持つことも大切です。自社の採用力を高める努力をすることで、派遣でも直接採用でも人が集まりやすくなります。

人材派遣を利用する前には、人材派遣オーダー時の事前チェックシートを確認して、本当に必要な人材の要件を見直してみましょう。

[無料ダウンロード]ミスマッチを抑制!人材派遣オーダー時の事前チェックシート

まとめ

人材不足が叫ばれる昨今、直接採用だけでは必要な人材を揃えられず、人材派遣を検討する企業も多いと思います。ひとくちに派遣といっても、いろいろな形態があり、それぞれに特徴や注意点もあります。これらをしっかりと理解して、自分の会社にとって必要な人材確保の方法はなにかを検討しましょう。

企業様向けメールマガジンに登録

ご案内

無料セミナーのご案内

アデコの人材サービスラインナップ

  • mixiチェック

お問い合わせはこちらから 人材に関するお悩みがございましたらお気軽にご相談ください
電話でのお問い合わせ ※受付時間:平日9:00〜17:00
お問い合わせフォーム