労働者派遣法改正案やホワイトカラー・エグゼンプションなど、
2014年から引き続き議論がされるテーマに加え、働き方もより多様化が進みそうだ。
キーワードを挙げながら、2015年の雇用と労働を読み解いた。
昨年、多くの企業でキーワードとして聞かれた「ダイバーシティ(多様性)」。
15年は、どんな働き方の多様化が進むのだろうか。
新たな働き方として注目を集めそうなのは、「コンプレスト・ワークウィーク」だ。「圧縮された週労働時間」という意味で、1日あたりの就業時間を長くして、その分就業日数を少なくするフレキシブルな勤務形態のこと。1日13時間労働で週3日出勤といった働き方も可能になる。
欧米では人気の高い働き方としてすでに取り入れられているが、日本でも一般化するのだろうか。多くの企業の経営戦略策定や業務プロセス改革に取り組んできた、ビジネスコンサルタントの細谷功氏は「業種や社内の立場によって捉え方が違います」と話す。
「会社の仕事は、大まかに表現すると、創造性が求められる企画・開発などの上流(個人)から、工場など効率性が求められる分業型の下流(組織)に流れます(図2参照)。上流では、拘束時間ではなく結果で評価されるので、コンプレスト・ワークウィークのような働き方は歓迎されるでしょう。一方、下流では安定的、効率的に働くことが求められるので、そういった働き方は向いていません」
ICT(情報通信技術)がこれだけ進んだいま、上流と下流、個人と組織の関係は“逆転”しつつあると細谷氏は指摘する。
「仕事の効率化・定型化が進み、いずれ機械やロボットに置き換わる仕事が増えるでしょう。そうなると、人間しかできない創造性が重要となり、個人と企業の“個企逆転”現象が起きることになります」
その流れとリンクするのが、インターネット上で不特定多数の人にウェブ制作やデータ入力など、特定の業務を委託する「クラウド・ソーシング」だ。14年に400億円を超える程度だった流通金額規模が、15年は約650億円、18年には1800億円を超える規模にまで急拡大すると見込まれている(矢野経済研究所調べ)。
「外注先の数や品質が飛躍的に高まり、本業と副業の境界線もあいまいになってきます。組織から個人へという流れはより強まり、多様な働き方が広がるでしょう」