Vol.39 特集第2部:新卒&若手社員の育成メソッド 新卒も外国籍社員も
若手は「チーム」で磨かれる

若手は「任せて」育てる──。だが誰しも一人で育つことはできない。
周囲の力を借り、助けられながら成長する。人は、チームの中で育つものだ。
では、その具体的な方法とは?
ここからは特集第2部として、チームで人財を育てる方法論を探る。

若手をどう戦力化するか─は「永遠のテーマ」とも言える組織共通の悩みだ。最近では、後でも詳しく述べる外国籍の社員や中途採用者など、若手といってもその属性はさまざまであり、従来の育成法では通用しないと感じることも多いだろう。人事部門も採用には力を入れても、育成は現場に委ねざるを得ないケースも見受けられる。だが外国籍社員を含む若手の育成を現場の管理職だけに委ねるのには限界がある。上司が部下一人ひとりを管理するには多くの時間を費やす上、集団としてのパフォーマンスを発揮することはできない。「グループはチームではない」と言われるが、グループが単なる人の集まりなら、チームは一つのゴールに向かって進む組織体だ。そしてチーム内での"化学反応"を活用すれば、若手社員の行動やパフォーマンスに良い影響を及ぼすことは間違いない。本稿では、外国籍社員を含む若手をチームで育てる効用や手法に迫りたい。

なぜ上司と部下の一対一ではなく、チームで若手を育てることが重要なのか―。チームマネジメントに詳しい人財コンサルティング会社IWNCの生田洋介氏は、こう説明する。「ある人が積み上げたノウハウを、未経験者がまた新たに積み上げるのでは、組織としても非効率。個人の素質や能力に委ねすぎる育成法では、一部はハイパフォーマーになれたとしても、成長できない人も出てくる。一方、自力で育ったハイパフォーマーは、組織に育てられた自覚がないだけに会社へのロイヤリティが低く、すぐ転職してしまう。これもまた、大きなリスクだ。だからこそベテランを含むチーム全体が関係性を深め、同じ目的に向けて情報共有したり、課題解決していく中で成長を促進させることが重要なのです」

さらにはチーム全体で若手を育成する風土を作れば、後進の育成に積極的な社員が育ち、自然とリーダーシップが身に付く副次的効果も期待できる。では「チームで育てる」カギは何か?

生田氏は「原点はチーム内全体の関係性を深めること」だと言う。「マサチューセッツ工科大学教授のダニエル・キム氏が『組織の成功循環モデル』のなかで、組織の結果の質を高めるにはメンバーの行動の質を高めることが、そのためには思考の質を高めることが、また思考の質を上げるためには関係の質を高めることが不可欠と提示した通り、人財育成の礎は『関係作り』にあります」

反対にチーム内の関係性が悪いと、メンバーはネガティブな感情を持ちながら仕事をすることになる。すると思考そのものがネガティブに傾き、クリエイティブになれない。結果、成果レベルが下がるというわけだ。

そして生田氏は、チーム内での関係作り=信頼を築くことは 「お互いがどれだけ知り合っているか。親密性を高めることが出発点」と言う。「よく知らない相手に指示されても、若手は受け入れられません。自分の情報は弱さも含め、どんどん開示していくべきです」

ただし信頼性構築には「相手を知る」努力も欠かせない。「若手が興味を持つものに関心を抱くことも大事。彼らが好むアプリはダウンロードするくらいの意欲があるといいですね」

こうして若手とチームの間で信頼関係の素地ができたら、チームの相乗効果を高めるため「チームのグラウンドルールを考えるワークをする」ことが大切だと生田氏は提唱する。

「チームワークを働かせるには、メンバー全員に、個人の業績だけではなくチーム全体の成果を意識させ、価値観を共有する必要があります。そのためにまず、理想のチーム像とは何か、を自分たちで考えさせることが重要。チーム像を描く過程で自分の意見が反映されれば、オーナーシップが形成され、主体性を持ちやすくなります」

この意見には、外国人マネジメントに詳しいグローバル人材戦略研究所の小平達也氏も同調する。

ダニエル・キム氏の「組織の成功循環モデル」

IWNC シニアコンサルタント 生田洋介 氏

profile

組織改革や人財開発を行うIWNCに1996年入社。大手企業や外資系企業などの人財開発プログラムや、チームのパフォーマンスを向上させるコンサルティングを行う。著書に『指導しなくても部下が伸びる!』(日経BP)など。

グローバル人材戦略研究所 所長 小平達也 氏

profile

「世界で通用する日本型組織」をテーマに活動。大手企業を中心にマネジメント研修を行う。近著に『外国人社員の証言 日本の会社40の弱点』(文藝春秋)。

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