Vol.38 特集:ネット・ソーシャル時代を牽引(ケンイン)する 「ジェネレーションZ」と近未来のワークスタイル 組織と人の今とこれから

生まれた頃からパソコンや携帯など
デジタルツールに囲まれて育ったジェネレーションZ。
いわゆる「デジタルネイティブ」の世代だ。
それまでの世代とは異なる環境に育ち、独特の感性を持つとも評される彼ら。
近い将来、社会人となる彼らの価値観や労働観はどうなっているのか。
近未来シミュレーションとともに解説する。

Z世代が同僚になるとき…組織は彼らをいかに育成すべきか

「相手の価値に寄り添う」 メンター的な接し方がキー

安定志向と承認欲求が強い一方で、仲間や他人の役に立ちたい貢献意欲も高い—。前ページでは、Z世代の特徴が浮き彫りになった。そんな彼らも、最年長の層は2年後に社会人の仲間入りをする。そのとき企業は、どのようにZ世代と向き合っていくことが望まれるのか? 前出の中央大学の古賀氏も品川女子学院の神谷氏も、「先輩、上役だからという上から目線は今以上に通用しない」と口を揃える。

「上司や先輩社員の生活ぶりや出自、キャリアもネットで簡単にわかってしまう時代。またITの普及で、あらゆる枠組みの垣根が低くなり、組織もフラット化しています。“一方的に” “上からの”コミュニケーションは時代に逆行しているのです」(神谷氏)

古賀氏も「『これは違う』などと強圧的に話す“ショック療法”に効き目はない」と同調する。そこで両氏が薦めるアプローチは「相手の価値観やキャパシティをしっかり把握した上で、共同作業で同じゴールを目指す、“メンター的”接し方」だ。

「当校では、企業と生徒共同での商品開発など、多種多様な企業とコラボレートするキャリア教育に注力しています。こうした取り組みにより、生徒の就業意欲が高まり、その結果、『将来の仕事が明確にイメージできている』生徒が60%を超えるというデータもあります。このように実際に何かに必死になって取り組み、苦労を味わいながらも、それが仲間や社会に役に立つイメージが生まれると、今の学生たちの意欲は高まるのです」(漆氏)

古賀氏も「Z世代を支える社員や人事担当者は、Z世代に良い影響を与えそうな社内外の人間と関係をつないであげるような、いわゆる“媒介者”の役割を果たすことも時として必要です」と言う。

つまり先輩社員が「いい大人モデルを見せること」(漆氏)ができるかどうかが、Z世代を伸ばすカギとなる。

「学校も今後は、学習コンテンツは海外や企業など校外から取得し、生徒はグループワークでそれらを学ぶ時代に突入する可能性も。そうなると教員は、各グループを束ねるファシリテーター的役割に変容していくはず。上司もこれと同じで、何かと何か、誰かと誰かをつなぐファシリテーション能力がより求められる時代になると思います」(漆氏)

肝心なのは“初期設定”最初に業務をつまびらかに

ファシリテーター役は、聞き上手かつ説明上手なことも不可欠な条件だ。「自分の世界と他者との境界をハッキリ設定しているZ世代は、その分、心配性です。ですので、まずは彼らが考えていることを直接聞いてほしいですね。たとえば彼らはどんなことに喜びを感じるのか、反対に、どんなことで心が折れそうになるのか、学習塾のように一人ひとりの可能性や傾向をつかんだ上で、意見やアドバイスを言うべきです」(古賀氏)

そして個別対応とともに、仕事のリアルな大変さを伝えることも大切という。「仕事はいいことばかりではない、でも続けていればスキルを体得できる。だからこそ先輩たちに“能動的に依存”する。つまり人の力にうまく寄り添いながらいろいろなことをつかんでいくことも必要です」(古賀氏)

また古賀氏は「Z世代との関係作りには最初が肝心」と“初期設定”の重要性を説く。「最初の配属先は、どんな意図で選んだのか。君たちの仕事内容やその目的、ミッション、評価基準は何なのかを明確に示すこと。与えられた仕事が会社や社会にどう役立っているのかを知れば、Z世代は俄然やる気になります」。さらに彼らの仕事ぶりについて「頻繁にフィードバックすること」も欠かせないポイントだ。

「どこが良かったか、逆にどこを改善すべきかをきちんと伝えることが、Z世代にはことさら大事な段取りなのです」(古賀氏)。いずれにしても、「見て覚える」「表情から察する」といった“阿吽(あうん)の呼吸型”とはまったく異なる、細かいコミュニケーションの徹底が重要なカギとなってくるだろう。

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