Vol.38 特集:ネット・ソーシャル時代を牽引(ケンイン)する 「ジェネレーションZ」と近未来のワークスタイル 組織と人の今とこれから

生まれた頃からパソコンや携帯など
デジタルツールに囲まれて育ったジェネレーションZ。
いわゆる「デジタルネイティブ」の世代だ。
それまでの世代とは異なる環境に育ち、独特の感性を持つとも評される彼ら。
近い将来、社会人となる彼らの価値観や労働観はどうなっているのか。
近未来シミュレーションとともに解説する。

人間関係も安心・安全 結果的に刹那的思考も

「安心・安全を求める」は、Z世代の人間関係作りにも通底する志向だ。

「親や仲間と他人を分けるゾーン・ディフェンス(境界設定)が高く、“親密圏”にいる人と付き合いたがる傾向が強くあります」。日本のZ世代のSNSの使い方が、未知の人々と知り合うよりは、親密圏にいる人とより親密になるために使われがちなのもそのためで、「卒論調査で大学の入学式前に同級生とSNSで知り合いになってくる人が、4分の1もいたほど」(古賀氏)だ。「自尊心と自己肯定感を高めたい欲求が強いがために、親密圏から排除されないよう、仲間に過剰なほどに配慮する傾向が見られます」

親密圏が狭いからこそ、思考は自ずと「個人主義的」、「現在思考」になりがちだ。「行動の原理が今現在の不安を解消することに偏りがちなので、長期的展望を描きにくく、『いま、ここ的』思考にならざるを得ない。だからこそ、あれほど“全身就活”したのにも関わらず、上司とそりが合わないだとか自分に合わないといった理由で会社を辞める若者も多いのです」(古賀氏)

デジタルネイティブゆえのグローバル意識も

もっともZ世代ならではの能力の高さや長所も数多い。その一つがデジタルネイティブならではの傑出したIT能力の高さだ。品川女子学院の教諭、神谷岳氏は「さまざまな挑戦へのハードルが低くなった」と指摘する。

同校の校長、漆紫穂子氏は「『起業したい』と高校2年生から相談されたこともある」そうだ。以前のように、高価なツールを使わずとも、アイディアとスキルがあれば簡単にアプリが作れる時代だ。

「学校で教えてもいないのに、スケジュール管理アプリを作ってApp Storeでリリースした子もいます」(漆氏)

ITツールの普及は、グローバル化とも親和性が高い。同校教諭の酒井春名氏は、実際その効用が見られると言う。「当校では中学3年時に修学旅行として、ニュージーランドにホームステイするのですが、生徒は帰国後もSNSでホストファミリーや学校で知り合った人とつながり、頻繁に連絡を取り合っています。ITツールによってグローバルとの垣根が低くなっていることも、Z世代の大きな特徴です」

さらに、酒井氏はITツールを使いこなすことで、価値観が多様化していることも評価すべきポイントと解説する。「以前は学校内で尊敬される生徒といったら、勉強やスポーツができる子が多かったのですが、今は『ITに強い』『表現力が豊か』など、尊敬される対象も多様化しています。こうした変化により、生徒たちは、人の人生の成功例は一つではないことを認識しています」(酒井氏)

その影響だろうか。最近の中高生は、生徒会長や部活のリーダーなど「目立つポジション」ばかりを目指す傾向は低く、「文化祭の実行委員など自ら進んで裏方に回る生徒も増えている」(漆氏)そうだ。「それは人から感謝されることにやりがいを見出す、社会貢献欲の強い学生が増えているからかもしれません」(漆氏)。実際データにも社会貢献欲の高さは表出しており、前出の内閣府の調査でも「仕事を選ぶ理由」として「多くの人の役に立つため」と回答したZ世代は73.7%と、多数を占めていた。

次ページからは、彼らZ世代が社会に出るときに備え、組織として、どのような備えをすべきかを聞いてみよう。

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