Vol.38 特集:ネット・ソーシャル時代を牽引(ケンイン)する 「ジェネレーションZ」と近未来のワークスタイル 組織と人の今とこれから

生まれた頃からパソコンや携帯など
デジタルツールに囲まれて育ったジェネレーションZ。
いわゆる「デジタルネイティブ」の世代だ。
それまでの世代とは異なる環境に育ち、独特の感性を持つとも評される彼ら。
近い将来、社会人となる彼らの価値観や労働観はどうなっているのか。
近未来シミュレーションとともに解説する。

絶対的な安全と安心 常に追い求める

1991年、作家、ダグラス・クープランドが発表した『ジェネレーションX—加速された文化のための物語たち』から名付けられたジェネレーションX。60年代から70年代前半に生まれた世代だ。そして70年代半ば以降に生まれたジェネレーションY、そして今は1990年代以降に生まれたジェネレーションZたちが注目を集めている。まもなく社会人となる彼らには、どんな特徴があるのか。

恐怖・リスクを避けて、安全・安心を求める—。中央大学文学部教育学コース教授の古賀正義氏は、Z世代の特徴をそう総括する。実際に、そうした性向はデータからも見て取れる。内閣府が行った「若者の考え方についての調査」(平成23年度)を見ても、Z世代に相当する若者が「仕事を選ぶ理由」は「安定していて長く続けられる」ことが56.5%と、「自分の好きなことができる」(47.7%)や「収入が多い」(46.6%)などより回答比率が高い。

安定志向は、不安と背中合わせの関係ともいえる。同調査では「きちんと仕事ができるか」「働く先での人間関係がうまくいくか」「そもそも就職できるか、仕事を続けられるか」などの問いかけに8割近くの学生が不安を訴えている。なぜZ世代は、これほど不安に駆られているのだろうか?

「現実的に、リスクが肥大化していることが大きい。長年雇用環境が悪かったことに加え、『核家族』が地崩れしていることも要因。親世代の離婚が増え、シングルファミリーも多く、誰かが毎日朝食を作ってくれる、といった就労生活を支える『基本的な家庭環境』が十分でない人が増えていることも背景にあります」と古賀氏は分析する。

安定志向の背景には、『Z世代の親たちの就労環境』の影響もあると推察できる。

「Z世代の親世代、現在の30代後半〜50代は、終身雇用が守られた環境にいるとは限りません。離職や転職する人も多く、リストラを経験している人も。だからこそ、その子ども世代は安定に憧れる面も大きいのではないでしょうか」

実際にZ世代の経済的事情はシビアで、奨学金を受給している学生の割合は52.5%と、10年前の31.2%から急激に増えている(日本学生支援機構「学生生活調査」平成24年度)。社会人になっても奨学金返済で貯蓄が難しく、自分の家庭を持つことも難しくなる人も。だからこそZ世代は「“全身就活”という言葉がはやるほど、何にも優先して就職活動に全精力を注ぐ」。それも以前のように「やりたいこと」を追求するようなどこか浮かれた感覚とは異なり、「今、目の前にある不安を取り除きたい思いから」なのだと言う。

  • 中央大学文学部教育学コース 教授 古賀 正義 氏
    profile
    宮城教育大学などを経て2003年より現職。内閣府や東京都の青少年問題の調査研究などを行う。
  • 品川女子学院 校長 漆 紫穂子 氏
    profile
    東京都内の私立中高一貫校を経て1989年に品川女子学院へ。父の跡を継ぎ2006年より現職。
  • 品川女子学院 教諭 神谷 岳 氏
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    さまざまな企業と連携しながら実際に生徒たちが商品などを開発する総合授業担当。学年主任。
  • 品川女子学院 教諭 酒井 春名 氏
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    情報科教諭。神谷氏とともに企業と連携した授業などを担当する。

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