Case Study 2 vol.37 特集 『人財競争力調査』からひも解く “これからの”人財の採用と育成 人財の可能性を「意志」「コミットメント」「能力」で評価 実績次第で責任あるグローバルポジションにつくことも 日本オラクル株式会社

リーダーシップトレーニングの様子。社員同士のグループワークで、ペーパーボードを使って意見を出し合っている。

日本オラクルは、日本法人設立から来年で30年になる、日本に根付いた外資系IT企業だ。2005年以降は、米国のオラクル・コーポレーションにより、大小含め100社前後の企業を買収したことで、日本オラクルにも多様な人財が入社してきた。「採用や育成を日本国内だけで考えればよいという状況ではなくなった」と同社執行役員人事本部長の遠藤有紀子氏は語る。

「M&Aなどで、社内の人財が多種多様になってきた頃はちょうど、お客様のグローバル化が一気に進んだ時期でした。それに伴い、弊社が取り扱う製品の種類も増え、その製品に関係する情報を世界中から収集するためにも語学力が必要になりました。このような社内外の環境変化に対応するため、グローバルに活躍できる人財を育成することは必然でした」

この10年の間、米オラクルを軸に「ボーダーレス・マネジメント」の考え方が徹底された。すなわち、世界中のデータ、情報、業務プロセスなどあらゆる仕組みを、国境を越えて標準化し、グループ内で共有した。これは人財管理も例外ではない。タレントマネジメントのシステムを導入し、全世界のオラクル人財の可視化を可能にした。

「すべての人財を、現在のパフォーマンスに加え、今後の可能性としてアスピレーション(意志)、コミットメント、ケイパビリティ(能力)という3つの基準でポテンシャルを評価しています。そして個人の能力が最大限に生きるよう適材適所に配置すると同時に、『この人はもっと海外研修に出したほうがいい』『この人には語学学習が必要だ』など、組織としての総合的な人財の可能性を考える視点も導入し、長期的な視野で人財を育成できるようになりました」

驚くのは、トレーニングシステムをグループ内で全世界共通にしたことだ。

「人財の育成プログラムは大きく3つあります。1つ目は営業なら営業、コンサルタントならコンサルタントで、各自の専門性を鍛えるもの、2つ目はプレゼンテーションや交渉力などソフトスキルを鍛えるもの、3つ目は幹部候補向けにリーダーシップなどマネジャーに必要な要素を学ばせるものです。グローバルで共通するカリキュラムを、社内の人財開発のメンバーで構成される講師陣(あるいはプログラムによって外部研修のプロを招へい)が対面で教えています」

とはいえ、海外向けのカリキュラムがそのまま日本で適用できるのか、という疑問はある。

日本オラクル株式会社 執行役員 人事本部長 遠藤有紀子 氏

「もちろん、日本人に合う・合わないはあります。しかし、私たちが目指す人財の在り方を考えたとき、国を理由に取り入れることが難しい研修など、どこにもありません」

このようなボーダーレス・マネジメントに適応するためには、共通言語である英語が扱えることが大前提だ。日本オラクルでは、英語が得意でない従業員のためにオンライン学習を実施し、語学学校による英語研修なども奨励している。さらに最近では、採用の段階で英語による面接も取り入れているという。その一方で、外国人社員の比率を高めることには必ずしもこだわっていない。

「日本オラクルは社員約2600人のうち、外国籍は役員を含め50人前後。どんな環境でも活躍できる能力があるかを主眼に採用しているため、国籍は関係ありません」

日本オラクルのグローバル人財戦略は、社員からしてみればハードな面もあるかもしれない。だが、自身の可能性を自ら広げることができるという点で、「オラクル」で自分のキャリアを作っていくことの強い動機付けにつながる。

「当社は全世界すべてのポストがオープンポジションです。叶うかどうかは本人次第ですが、世界中のポストにエントリーすることは可能です。実績次第では、日本人が複数の地域を統括する部門のリーダーや責任ある役職につくことも十分にあり得ます」

今後の人財戦略の肝はやはり、個人が長期スパンで自分に必要なスキル・キャリアを模索し、キャリアマップをどう描くことができるか、その道筋を示すことにあるようだ。

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