Case Study 1 vol.37 特集 『人財競争力調査』からひも解く “これからの”人財の採用と育成 世界32万人以上の従業員を一括管理し「職務内容」で格付。研修も人事異動もボーダーレスに 株式会社日立製作所

「留職」先のラオスでの打ち合わせ風景(左から2番目が日立製作所社員)

日本を代表する総合電機メーカーである日立製作所では、2011年から「グローバル人財マネジメント戦略」という大胆な人事戦略改革を進めている。

日立グループは連結子会社を含め964社(国内315社、海外649社)、全従業員は32万人を超え、海外売上高比率は40%を超える(日立グループ連結)。すでに十分グローバルに展開しているのだが、人財統括本部人事勤労本部長の田宮直彦氏は「11年以前は、あくまで日本を起点として海外戦略を考えていました」と話す。

「今後、海外売上比率50%超を目指すにあたり、そんな考え方では真のグローバル企業にはなれません。日立グループを前進させるグローバルリーダーは、国籍に関係なくグループ全体から集め、育成する必要があると考えました。そこで、日本も拠点の一つに過ぎないという考えに改め、『日本を含めたグローバル人財戦略』を推進することにしたのです」

まず着手したのが、日立グループの全社員を対象とする「グローバル人財データベース」の構築だ。

「これまで自主独立路線だった子会社を含めて、国内外連結対象グループ会社の全社員の情報を統括、可視化できるようにしました。グループ全体の人財マネジメントを可能にし、今後は人財を戦略的に育成、活用するタレントマネジメントやキャリア開発など、あらゆることに活かしていきたいと思っています」

統一したのは人財管理だけではない。日立グループでは現在、「職務・職責の大きさ」を統一基準で格付する「グローバル・グレーディング制度」の導入を進めている。

「国内外の全マネージャー以上を対象にし、ジョブディスクリプション(職務記述書)を作成して、職務格付基準を7段階に統一しました。給与は、それぞれのグレードと、本人のパフォーマンス(評価)、グループ会社の給与水準や各国の労働市場水準に基づいて決定する仕組みです」

こうすることで、日本企業独特の「人ありき」の慣習から脱却し、特定の職務を遂行できる人財を探す「仕事ありき」の人事に変える方針だ。

「『あなたが果たすべきミッションはこれで、その業務の報酬はこの程度』と共通の物差しで処遇、評価することで、不公平感がなくなり、外国人も違和感なく働ける。国を超えたアサインメント(指名)もしやすくなります」

次世代を担う経営幹部候補者の養成も、国やグループを超えたボーダーレスで行う。「グローバル・リーダーシップ・ディベロップメント(GLD)」という取り組みだ。

株式会社日立製作所 人財統括本部 人事勤労本部長 兼 ダイバーシティ推進センタ長 兼 総合教育センタ長 田宮直彦 氏

「人財データベースなどの情報を活用して、各事業の将来を担う人財を選抜し、米国の有力大学やスイスのビジネススクールなどと連携して作成した、グローバルとリーダーシップの要素にフォーカスした経営研修をすべて英語で行っています」

13年度は海外グループメンバーも含む約120人がこの研修に参加した。一方、若手のグローバル教育も充実させている。

「語学留学、企業派遣、NPOに参加しての技術サポートなど、70〜80のプログラムを用意し、新入社員から20代の若手社員を年間で約1000人、海外へ派遣しています。だいたい4人に1人の割合になりますが、早い段階で世界の多様な文化や価値観に触れさせ、留学ならぬ“留職”などをさせることでグローバル人財として飛躍するための下地を作ります。そして、30代の中堅層には現地法人でローカルスタッフの下について働く経験をしてもらい、マネジャーとして海外赴任するというステップを理想形としています」

新卒採用でも、日立製作所は「柔軟な頭で、物事の全体像を捉えられる人財」「あらゆる人に心を開き、心を開いてもらえる人財」「常に自分の意志を持ち、それを明確に示せる人財」「困難に立ち向かい、最後までやりとげられる人財」と、求める人財像を明確にしている。新卒から経営幹部まで、すべてをグローバル要員と考えることが日立製作所の人財戦略の要なのだ。

NEXT Case Study 日本オラクル 人財の可能性を「意志」「コミットメント」「能力」で評価 実績次第でグローバルポジションに

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