Vol.34 特集:組織と人の今とこれから 独特の制度、柔軟な組織北欧に学ぶ「働き方」

高い税負担ながら手厚い社会保障、フレキシブルな働き方、新ジャンルでのビジネスの立ち上げが続く市場――。
国民一人あたりのGDP調査でも常に上位にあがり、世界から注目を集める北欧各国。いくつかのテーマに分けて探ってみる。

Work-life balance

6.経済危機を乗り超え確立した 高成長・高福祉・高負担

社会保障といえば、日本では年金、医療、介護など「引退世代」のイメージが強い。しかし北欧の社会保障支出は、上記の割合は50%程度。残りは、保育や教育、子どもの医療、職業訓練、失業保険、育児休暇中の手当など「現役世代向け」に充てられている。このため、現役世代も社会保険と福祉制度の重要性を痛感している。

「スウェーデン人は、28〜34%の地方所得税(日本でいう住民税)、最高25%の付加価値税(消費税)の“高負担”に抵抗がありません。企業が進化し続け、国際競争に勝ち抜き、経済成長しないと、社会保障が支えられないという危機意識を企業と国民と政府の3者が強く認識しているからです」と湯元氏は言う。なぜ全員で危機感を共有できるのか。それは過去何度も、実際の経済危機に直面した苦しい時代があり、そこからさまざまなことを学んだからだ。

「オイルショック、バブル崩壊にリーマンショックと、世界中で経済が低迷した時代、北欧経済も同様に壊滅的な打撃を受けてきました。その度に、内需依存では高成長を望みにくい北欧諸国は、輸出で国を支えざるをえないと認識してきました。企業の国際競争力を高めるため、スウェーデンはあえて法人税を50%台から26%に下げたほどです」。

企業と国民と政府がそれぞれの役割を認識し、お互いに高めてゆく必要性=利害が一致している──その強みが、高負担高福祉を支える鍵だ。

【図3】スウェーデンの社会保障制度の4つの柱 1.社会保険による所得比例型の所得移転(36%)
[失業保険、疾病保険、育児休業保険、所得比例年金]未就業時の所得保障。就業していたときの所得に比例。財源:社会保険料 2.社会サービスの現物給付(55%)[保育・学校教育・医療・高齢者福祉]住民生活に必要な社会サービスを無料、もしくはわずかな自己負担で提供して機会の平等を保障。財源:地方所得税 3.定額の所得移転(4%)[児童手当、養育費補填、大学生手当]子持ち世帯や大学生など特定のカテゴリーに属する人に一定額を給付する。社会サービスの現物給付による機会平等の保障を補完。財源:国税 4.社会扶助による所得移転(4%)[生活保護、最低保障年金、住宅手当]一定の生活水準を下回る低所得者のみへの経済的支援(所得審査あり)。財源:国税と地方税 (注)タイトル横のカッコ内の数字は、社会保障支出に占める割合。湯元健治・佐藤吉宗著『スウェーデン・パラドックス』より

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