Vol.33 特集:世界と日本の今を見る 若者の仕事観、私はこう捉える

Senior side 仕事観は大きく3つに分類、課題は「個々への対応」

上司はデジタルツールが苦手な世代、一方、その部下はデジタル・ネイティブ世代―。過ごしてきた時代や環境の違いによって、上司世代と部下世代の「コミュニケーション・ギャップ」が指摘されている。「上司世代」にあたる昭和女子大学特命教授の福沢恵子さんは、現在の若者の職業観をどう捉えているのか? 「若者の職業観は、3つの層に分けられると考えています」

まずは業界に関係なく、企業の採用担当者が「採用したい」と考える層だ。「在学中から起業を考えたり、留学に積極的などアクティブで、将来的にはリーダーとして組織を動かす仕事をしたいというような意識を持つ層です」

そして次にボリュームゾーンの層だ。「 基礎学力は満たしていながらも、一から仕組みを考えるのは苦手。一方でトップ層に入るといろいろな意味で目立ってしまい、何かと圧力が強くなると思っているために、上位4、5番手を目指す要領のよさがあります」

最後は「自分が何をしたいのか分からない層。無気力系”か、具体的に何をしたいかは言えないが『大きなことをしたい』と思っている“妄想系”の2派に分かれます」

福沢さんによると、この3層はピラミッド型をしており、その構成は第一層が3〜5%、第二層が50〜55%、第三層が40〜45%程度。しかし各層に属する人の分かれ目は極めて曖昧で、入れ替わりも頻繁だと言う。「一層と二層の間を行ったり来たりしている人もいれば、二層の人が良いメンターとの出会いで一層に上がることもある。反対に、一層の人が燃え尽きて三層に移ることも多々あります」

もっとも「第二層の増加」は、最近の傾向として顕著だと言う。「今の若者は、幼い時から満たされていたため、肩の力が抜けている。このためガツガツ働いてまで、出世しようとは思わないのではないでしょうか」

したがって第二層を昇進や昇給を目的に働かせようとしても、そうは問屋が卸さない。「マニュアル世代でもありますから、指示は具体的にする必要があります。OJTも『盗んで覚えろ』ではダメ。ツアーガイドのような感覚で、丁寧に教わることを望んでいる若者は少なくありません」

しかし福沢さんは“自分の役割をきちんとこなす”日本の分厚い中間層が、高度経済成長期には日本企業の強さを支え、現在においてもなお、他国との差別化の源泉になっていると主張する。「上司はつい第一層に目がいきがちですが、彼らをよりよく組織で活かしていくためには、マネジメントする側にもスキルや知識、体力が必要です。その点、ボリュームゾーンである第二層をいかに活かすかが企業にとっての最重要課題です」

一方で「第三層には『目標を達成したら、インセンティブを与える。個人のよい点を評価する』などの工夫で、少しずつ成長していく場合もあります。若者の育成におけるポイントは、いずれの層も働く動機が違うので、すべてを一括りに扱わないこと。個々への対応が問われているのです」

昭和女子大学 グローバルビジネス学部 ビジネスデザイン学科 特命教授 福沢恵子氏
昭和女子大学 グローバルビジネス学部 ビジネスデザイン学科 特命教授 福沢恵子氏
profile

1958年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。朝日新聞記者を経て、90年にジャーナリストとして独立。東京家政大学人間文化研究所助教授などを経て13年より現職。専門はキャリア開発論、メディアリテラシーなど。

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