Vol.33 特集:世界と日本の今を見る Case Study 「寺子屋店舗制度」で考え、行動する社員を育てる 株式会社ガリバーインターナショナル

若手の育成には、機会を与えろ―。識者はそろって警鐘を鳴らすが「行うは難し」。だが、この難業を実行している企業がある。

クルマ買い取り販売最大手のガリバーインターナショナル。入社1〜2年目の社員を「寺子屋」と呼ばれる店舗に集め2年間配属する制度を2009年から始めている。店長が監督のような立場で見守り、新人にも最大限の機会を与え、実践の中で店舗運営や営業などのスキルを育成している。この取り組みの立案者であるHRチームセクションリーダー、菊川正臣氏は「この施策で若手のやる気や責任感が増し、成長スピードが加速しました。新入社員同士の絆も深まり、離職率も大幅に低下した」と言う。

寺子屋店舗である「蔵前橋通り新小岩店」に向かうと、入社1〜2年目の社員が、エントランスでの接客から商談、見送りまではつらつと元気よく行っていた。見た目は若いが、立ち居振る舞いは立派な営業マン。素人目には他社員との区別はつかない。なぜ、こうも早く「即戦力」として振る舞えるのだろうか?「 通常店だとベテラン社員に頼ってしまいがちですが、『寺子屋』では否が応でも新人が自ら考え、動くしかありません。それに、お客様にとっては新人だろうがベテラン社員だろうが『ガリバーの社員』。そのお客様の『一人前扱い』が、彼らを本当の一人前にするのです」

とはいえ新入社員の「いきなり本番」による接客は、お客様に迷惑をかける心配や、売上へのインパクトが想定される。「確かに施策を実施した当初は、寺子屋の売り上げは振るいませんでした。しかし寺子屋へのフォローを徹底することで、2013年のキャンペーンでは、寺子屋店舗の一つが、同規模店舗70〜80店中、売上トップを達成しました」

売上トップとは、それだけ顧客から支持された証拠だ。一体、どのような、フォローやしかけがあったのか?
「 『予備校』と称して、閉店後に店長が講師役となり、買い取り査定などに関するセミナーを開くなど、日常業務のノウハウを教えます。また店長と新人は、原則として毎日『業務日誌』を交換。新人が書いた業務の疑問点や反省点などを、店長が翌朝までに回答するようにしています。このような店長と新人の二人三脚、そして新人同士の知恵の出し合いなどによって、目的や方向性を自分の頭で考え、問題を解決していく姿勢やスキルを身に付けていくのです」


〈写真右〉「寺子屋」店舗の一つ、ガリバー蔵前橋通り新小岩店の松下誠店長 と入社1年目の水野壮一さん。車を見るべきポイントをこと細かに伝え、新人社員も真剣なまなざしで応える。
〈写真上〉入社2年目の中村光弘さん。2年目ともなれば、査定する際の手順もてきぱきとしている。

自分で考える癖がつくと、お客様の見送りや出迎えも「何のためにやるのか?」にまで考えが及ぶようになる。そこから「よりお客様に喜んでもらうために、今度は小走りで出迎えよう」といった工夫につながる。こういったスパイラルの連続で、「“やらされ感”で携わる仕事とは違う、仕事の面白味が体感できるのです」と話す。

同社では、新人同士が、より一層“切磋琢磨”し合うため、同店舗・エリアで働く新人たちが住む住居も用意する。「寮かシェアハウスで共同生活をし、毎日の食事作りから食費などの共通費の管理も任せています」

ガリバーインターナショナル HR チームセクションリーダー 菊川正臣 氏
ガリバーインターナショナル HR チームセクションリーダー 菊川正臣 氏

職場も住居も共にすることで、新人たちはお互いを励まし合う。だから離職率も寺子屋開始前の約半分の15%程度にまで低下したというわけだ。この数字は生活関連サービス業の離職率24.7%(厚労省)に比べれば大幅に低い。「寺子屋というと、会社が若手に“上げ膳据え膳”をしているように誤解をされがちですが、実は、頼れるのが自分たちしかいないという厳しい制度でもあります。そういった厳しい環境で仕事に携わることで、こちらが想いもしなかった潜在能力を発揮するのです」

  • PREV
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 6
  • 6
  • NEXT

お問い合わせ:新しくウィンドウが立ち上がります

Pickup Service 人材に関わるトレンド情報からクライアントの皆さまの課題や悩みに対してアデコのソリューションをご紹介します:新しくウィンドウが立ち上がります