Vol.33 特集:世界と日本の今を見る 若者が働くこと、若者を育てること

2003年以降、急速に社会問題化している若年労働者の雇用。最近では、高齢者に関連する雇用制度とも重なり、問題はより複雑化しているかのようだ。若年者雇用問題の核はどこにあり、何が若者の「働く」を阻害しているのか。若者の雇用・育成をどう捉え考えていくべきか──問題の本質に迫る。

1.日本だけではない、先進国を覆う若年労働者の雇用問題 (2/2)

若年者をとりまく問題は社会保障制度の問題にも発展する

では、どうすれば若年層の雇用問題は好転するのか。濱口氏によると、「90年代以降、欧米が出した唯一の結論は、若者の育成」だと言う。つまり、国が若者を訓練しスムーズに就労に移行させるという方法しかないということだ。

日本でも「既卒3年以内は新卒と同等の立場とする」という厚生労働省からの要望が課せられたり、職業能力形成の機会に恵まれなかった求職者向けに就職支援を行う「ジョブ・カード制度」が導入されてはいる。だが、まだまだ現実には普及しているとは言い難く、その効果を疑問視する声もある。

さらに日本では、大卒後、正社員として入社しても、3年以内に退職してしまう若者が全体の3割近くにのぼる(【図4】)。この調査からも、スキルや実務能力が身に付いていない若者の数が、一定数以上存在していることは容易に想像がつく。

【図4】  新規学卒者の離職率

若者の早期退職の背景には、まれに「最近の若者は仕事に対するモチベーションが低い」といった側面もあるかもしれない。しかし育成などに力を入れず、単純作業要員として若者を酷使するような企業の問題も顕在化しており、その意味では、企業側の責任も無視することはできない。

今後、日本はさらに高齢化社会が進み、いずれは深刻な労働者不足問題に直面する。そうした中、このまま実務能力を養う機会がない若者が増加すると、組織で戦力となる人員が増えないばかりか、社会の「消費者」「納税者」も減少し、ひいては社会保障問題を増幅させる懸念さえ潜む。そうならないためにも「若者の育成」は、極めて重要な課題になっているのだ。

労働政策研究・研修機構(JILPT)客員研究員 濱口桂一郎氏
profile

1958年生まれ、東京大学法学部卒業後、労働省(当時)入省。欧州連合日本政府代表部一等書記官、東京大学客員教授、政策研究大学院大学教授を経て現職。

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