Vol.32 特集:組織と人の今とこれから モチベーションの本質を探る

日本企業のグローバル化が進む中、従業員の国際間競争も浸透しつつある。ところが現在の日本人は、肝心の“やる気”が低いといわれる。その理由とは?また、社員のモチベーションを上げる方法とは?識者の声を聞きながら、モチベーションの本質を探っていく。

2.モチベーションアップのために、今、必要なこと (1/2)

モチベーションが企業業績に結びつく

そもそも、なぜモチベーションは経営や人事にとって「永遠のテーマ」といっていいほど重要なのだろうか。前出の岡田氏は「企業業績と直結するから」と断言する。
「経営の適切な施策だけでは、企業は一定の範囲までしか成長しません。それ以上の成長・成功を達成するためには、従業員の自発的な貢献意欲(=エンゲージメント)が求められるのです」

そして、その一要素となるのがモチベーションというわけだ。では、どうすれば従業員のモチベーションは高められるのか?これまで最もオーソドックスな手法は(1)賃金などの報酬を上げること(2)昇進させること(3)会社への帰属意識を持たせることなどだった。しかし昨今の日本企業の多くは、社員の報酬を上げるほどの経営的な余裕はなく、管理職ポストも減少傾向にある。社内の従業員同士がコミュニケーションを取るようなイベントや施策も減っている。たとえ、これらの条件を全部満たしても、その効果は限定的だ。
「人の欲求に際限はないので、報酬の増加や昇進の効果は一時的。また会社が好きなだけでは、やる気は続かないものです」(岡田氏)

【図2】 従業員のエンゲージメントの高さが企業業績に影響を与える

では、今こそ必要なエンゲージメント・アップ戦略とは何なのか、図3の表を見てほしい。日本人がエンゲージメントを保つ最も重要な要素として、「ストレス、バランス、業務量」がランクインしている。これは、何を意味するのか。

【図3】 日本とグローバル 働くにあたって重要視すること

「日本のような成熟社会において従業員が持続可能なエンゲージメントを実現するには、過剰な負担がなく、心身共に健康的に働ける活気ある職場であること。上司や仲間との関係が良好で、仕事に必要な情報が行きとどき、ある程度の裁量や権限が与えられた、生産性が高い職場であることが、大前提になります」(岡田氏)

反対に、環境要因にマイナスがあると、従業員のやる気は当たり前だが低下してしまう。
「1万円の物品を購入するのに上司5人の許可が必要、仕事に必要な情報が回ってこない、上司や仲間とのコミュニケーションがうまくいっていない、といった職場では従業員のエンゲージメントは上がりようもありません」(岡田氏)

また岡田氏は、ランキング2位に「企業イメージ」が入ったことから、「最近は若者を中心に、企業の社会的使命に対する意識が高い社員が多い」と指摘する。つまり自分のやっていることが社会の役に立っていると実感できる職場で自分の役割をもって働くことが、働くための大きな動機となっているのだ。従って「『あなたの仕事は、世の中のために、こう意義がある』と示すことが、人事や経営や上司の大切な役目になっている」と守島氏は指摘する。

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