Vol.30 特集 キーワードで読み解く2013年の雇用と労働 2013年、雇用と労働の環境はこう変化する

有期雇用に関する労働契約法が4月に施行されるなど、雇用や労働を取り巻く環境がますます変化することが予測される2013年。企業の経営者や人事部門は、その変化にどのように対応していけばいいのか。
労働や人材などの分野を専門に研究されている東京大学大学院教授の佐藤博樹氏と東洋大学准教授の小島貴子氏に話をうかがいながら、2013年以降に予測される変化を7つのキーワードにまとめてみた。

■2012年、労働者の雇用形態は? ■2012年、年代・男女別労働就業者数は?

キーワード1 <有期労働契約の新ルール>改正労働契約法が4月1日より施行 (1/2)

「5年ルール」がスタート
有期契約社員の活用が急務

2012年8月、「労働契約法の一部を改正する法律」、いわゆる改正労働契約法が公布された。新しい労働契約法の柱は3つ、すなわち「無期労働契約への転換の促進」「労働者に対する不利益な雇い止めを無効とする過去の判例を法定化した『雇い止め法理』の法定化」「無期雇用労働者(正社員)と異なる不合理な労働条件の禁止(賃金、教育機会など)」である。このうち「『雇い止め法理』の法定化」は公布と同時に施行されたが、残る「無期労働契約への転換」と「不合理な労働条件の禁止」は、13年4月に施行されることとなる。とりわけ企業にとって大きなインパクトを持つと指摘されているのが、「無期労働契約への転換」だ。

「無期労働契約への転換」とは、有期労働契約が通算で5年を超えた場合、労働者側が希望するとき、労働契約を無期に転換する規定のことを指す。その「5年」のカウントがスタートするのが、13年4月というわけだ。それ以降、契約期間のある労働者が契約更新を重ねて5年に達し、かつ本人が希望するなら、契約期限のない就業形態に変更することができることになる(図1)。

【図1】 有期雇用労働者が無期雇用労働者に転換するケース

有期から無期への転換が発生するのは18年からだが、佐藤氏は「まだ先の話だとのんびりしていてはいけない」と話す。「有期契約で就労している人たちは、一般に、特定の職種・職場で仕事に従事しています。しかし無期契約になれば、同じ業務のみを続けていくというわけにはいきません。転属や転勤が必要とされるケースが出てくるでしょう。したがって企業としては、無期転換する可能性のある従業員が将来的にさまざまな業務に対応できるよう、今からスキルの幅を広げるなどの育成が必要です」

有期契約の従業員が無期契約に転換するということは、従業員の中に従来の「社員(無期契約社員)」や「有期契約の社員(派遣社員など)」とは別に「無期契約の業務限定社員」「無期契約の短時間勤務社員」など新しいカテゴリーが生まれることを意味する。そこをカバーする新しい就業規則も必要になりそうだ。

規制強化をポジティブに捉え直す

すでに施行されている「『雇い止め法理』の法定化」は、労働者に著しく不利益となる雇用終了を無効とする過去の判例を条文化したものだ。有期労働契約の契約期間が満了となった場合、原則的にはそこで雇用契約を終了することができる。これを「雇い止め」と呼ぶが、たとえば、定常的な業務において有期雇用労働者が反復更新を重ね、最終的に企業側の都合で契約を打ち切るなどの対応をした場合、実質「期間の定めのない雇用での解雇」と同等と判断され、雇い止めは無効となる。

新しい労働契約法は労働者保護に重点を置いた内容である一方、企業にとっては規制強化となる法律でもある。しかし、これまでの古い就業規則の慣例を改め、より合理的な人事施策を講じていくきっかけをもたらす制度でもある。たとえば賃金を契約上の立場ではなく、職務を軸とした形態に変える、あるいは「正社員」「正社員以外」といった身分に基づいた処遇を改めるなど、法律をよりポジティブに解釈して、企業活動の活力としていくことも可能だ。それらの視点を図2にまとめたので、参考にしていただきたい。

【図2】改正労働契約法の有効な活用ポイント
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