Vol.28 特集 経営戦略としてのダイバーシティ・マネジメント なぜ企業はダイバーシティを実現しなければならないのか

ダイバーシティ・マネジメント実践事例 Case Study 3 ダイバーシティ・マネジメント実践事例 大里綜合管理株式会社

「個性」に応じて立場や働き方が決まる

千葉県北東部の大網白里町にある大里綜合管理は、従業員およそ30人の不動産会社。身体に障がいを持つ人や、長期間、社会活動に参加してこなかった若者、高校生と、その顔ぶれは驚くほど多彩だ。従業員は不動産部、工事部、管理部といった部署に所属しているが、役割や働き方は一人ひとり異なる。「正社員、契約社員、研修生、アルバイトなど契約形態は人それぞれ。労働時間もライフスタイルによってさまざまです。決められた働き方があるわけではなく、その人の特性に合わせて働き方や立場を決めています」と話すのは、代表取締役社長の野老真理子さん。

野老さんが自身や社員の子どもを預けるための「社内学童保育施設」を社屋に設置したのは、今から18 年前のこと。ほどなく、地域の子どもたちの受け入れも開始した。

その後、さまざまな地域貢献活動に積極的に取り組むようになり、現在では、従業員が毎朝、駅前の交通整理や清掃活動などを行っている。また、社屋を活用したライブコンサートや各種ワークショップを開催したり、会社の会議室を貸し出し、地域の工芸作家の作品を販売するなど、多彩な試みを実践している。

(写真上)この日行われていたのは書道教室。地域に住む経験豊かな年長者が講師を務めることもある。(写真下)オフィスはフリーアドレス。会議をする机の隣で、子どもたちが宿題をしていることも。

地域への貢献は企業のPR 活動につながる

当初、学童保育施設の開設予算「50万円」の名目は「販促費」だったという。「なぜなら、地域貢献は販促活動だから」と野老さんは話す。「さまざまな活動を通じて地域の人々と接点を増やすことは、将来の顧客、未来の社員との出会いの場を作ることになります。私たちが行っている活動によって、この町が安全で清潔で、暮らしやすい場所になれば、私たちの事業の核である不動産の価値も上がっていくでしょう」

もっとも、一人ひとりの従業員は「貢献」や「販促」という意識はなく、こうした活動を「自分の仕事」としてやりがいをもって取り組んでいる様子だ。「それぞれの個性や得意分野を活かして地域と交わっていくことで、人との出会いが生まれること。それが何より大切だと思っています。すぐにビジネスに結びつかなくても、地域活動はまたとない従業員教育の機会にもなります。地域での活動もビジネスも、すべてつながっていると私は考えています。無駄なことなど何一つないのです」

会議室の壁面に設置した棚を区分けして貸し出し、地域の工芸作家の作品を販売している。

現在、収益が見込める活動が6割、採算を優先しない取り組みが4割。しかし、どちらも大切な「仕事」であるというのが野老さんの考えだ。このスタンスが企業活動に則っていることは、不動産取引、土地管理、建築の各分野でほぼ3分の1ずつ、全体で約5億円の売上を毎年維持しているという実績によって明らかだ。

従業員それぞれが、本業を含む多様な活動に従事し、それが豊かなコミュニティビジネスと従業員一人ひとりのやりがいにつながる──。大里綜合管理の取り組みは「地域と企業活動」におけるモデルの一つとして、企業だけでなく国からも注目を集めている。

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