Vol.28 特集 経営戦略としてのダイバーシティ・マネジメント なぜ企業はダイバーシティを実現しなければならないのか

ダイバーシティ・マネジメント実践事例 Case Study2 有志によるプロジェクトチームでダイバーシティを推進する グラクソ・スミスクライン株式会社

社員が自ら手を挙げて社内変革に取り組む

企業内でダイバーシティ推進を担うのは、ほとんどの場合、人事部、もしくはそれに該当する部署だが、イギリスに本社を置く製薬会社、グラクソ・スミスクラインは人事部にあたる人財本部に加え、社員有志によって構成されるプロジェクトチームが取り組む独自の仕組みを作っている。

社内イベントでのパネルディスカッションの様子。

同社ではW経営戦略に基づく全社的変革プロジェクトWとして、複数の「ビジネス・プロジェクト」と「ピープル・プロジェクト」が進められている。昨年立ち上がった「ダイバーシティ・プロジェクト」は、社員自らが手を挙げて参加し活動内容を決める「ピープル・プロジェクト」の一つで、現在、20 名の参加者により、第二期チームが活動している。定期的に経営会議にて活動報告と提案を行い、会社規模で実施すべき点は経営の承認を得ながら進めるなど、会社の戦略の一端を担っている。「一期目には、ダイバーシティという言葉の定義、プロジェクトのビジョンや方向性をめぐってディスカッションを繰り返し、メンバー間の意識のすり合わせを行いました」と話すのは、第一期からのメンバーであり、第二期にはリーダーを務める石井玲子さん。

長い時間をかけた話し合いは、次のような文言に集約された。「ダイバーシティとは、お互いの違いを認め合い、さまざまな背景や個性を持った人が能力を最大限に発揮できること」──。その後、アンケートなどで社員の声を集め、課題を確認、テーマを集約していった。

制度だけではなくカルチャーやマインドを変える

第二期の主な活動は、第一期の成果を受けて具体的なアクションを起こしていくことだった。第二期で注力したテーマの一つが「女性」だ。育児中の社員にインタビューをしたり、普段あまり顔を合わせることのない営業職の女性社員同士が交流できるネットワーク作りを行った。「女性が働きやすい制度自体はかなり整備されています。しかし、制度の存在や意義が全社員に理解されているわけではありません。制度のパフォーマンスを向上させながら、一方で新しい仕組みを模索していくこと。それがこのプロジェクトの役割の一つです(石井さん)」

プロジェクトメンバーは一期(約半年)ごとにほとんど入れ替わる。ピープル・プロジェクト全体のサポートを担当する変革推進室の吉田直美さんは説明する。

「多様な部署のさまざまな立場の人がプロジェクトに関わることが大切だと考えています。職階、性別、年齢、職歴などに関係なく、誰もが自由に発言できて、交流できるという点で、プロジェクトチームそのものがダイバーシティの一つのモデルなのです」

プロジェクトミーティングの様子。課題を付箋紙に書き出し、ディスカッションしていく。

メンバーが流動的であるということは、多くの社員にメンバーになれる機会があるということ。問題点を考え、意見を交換し合うことによって、ダイバーシティを支えるカルチャーやマインドが広く醸成されていくことになる。「本当の意味でのダイバーシティを実現するには、制度だけでなく、会社のカルチャーや一人ひとりのマインドが変わっていかなければなりません。時間のかかる取り組みですが、一歩一歩進んでいけば必ず実現すると思います(石井さん)」

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