従業員エンゲージメントどう違う?同じと誤解されがちな言葉と定義

2017.11.22 WED

日本ではまだ浸透しきっていない「従業員エンゲージメント」という言葉。これまであった似たようなニュアンス、意味合いを含む言葉との違いがわからないという人も多いはず。ここでは、それらの言葉と「従業員エンゲージメント」がどのように違うのかを紹介します。

「世界中で実施されている人事に関するカンファレンスでは、従業員エンゲージメントが主要な議題として考えられ、多くのセミナー/セッションが開催されています」
このように語るのはbeyond globalグループPresident & CEOの森田英一氏だ。
「世界では優先度の最も高い議題の一つになっている従業員エンゲージメントも、使っている組織や会社によりその定義が曖昧なことも重なり、この言葉を知っていても誤って理解している担当者も見受けられます」
では、どのような誤解が生まれているのか、従来の人事に関する言葉との差異を明確にしながらひもとく。森田氏は従業員エンゲージメントと誤解されがちな言葉として、以下の四つを挙げる。

1 ロイヤリティ

森田氏によると、ロイヤリティがある社員は、会社とともに同じ夢を追うことができるため、会社が伸びる前提の時代におけるロイヤリティは従業員エンゲージメントと同じ効果を発揮していたという。一方で従業員エンゲージメントとの違いについても語る。
「今日のように企業が必ずしも右肩上がりを続けると限らない環境においては、ロイヤリティが社員の主体性を奪う、つまりロイヤリティを捧げているから企業に依存しても良いと考え、企業に依存する従業員を生み出す要因となることもある」

2 従業員満足度

ロイヤリティの後に出てきた考え方で、それに近いものに従業員満足度がある。それまで顧客の満足度向上に努めていた企業が、その次の段階としてそれを実践する従業員の満足度を高めることが重要になると考えたものだ。
「従業員満足度も一定のところまでは、従業員の人間関係が良くなることなどで業績が上がったりと、効果を発揮します。しかし、満足度を追求していると、いつしか従業員は企業に求めるばかりとなってしまい、企業と従業員の間に健全な関係性を築くことができなくなってしまうことがあります」
このように森田氏は従業員エンゲージメントとの違いを挙げている。

3 コミットメント

コミットメントも従業員エンゲージメントと同様に考えられる言葉の一つだ。森田氏はコミットメントも業績との相関性が高いことを認めつつ、従業員エンゲージメントとの違いを、仕事などの業務に対する従業員の取り組み方への違いから説明する。
「コミットメントはどちらかというと与えられるものに対して『やります』という形。一方の従業員エンゲージメントは、内発的、自発的であり、『自らやります』という違いがあります」

4 モチベーション

最後にモチベーションについて、森田氏は従業員エンゲージメントとの違いを解説した。
「モチベーションが高いことは良いことですが、それが必ずしも会社の業績に結びつかないことがあります。重要なのは、企業と従業員のベクトルをあわせることです」
このように、従業員エンゲージメントと同じように考えられている言葉について比べてみると、それぞれに違いが見えてくる。取り組みを導入する際には、共通の認識を持つという意味でもこの言葉の定義を確認することも大事だといえる。

Profile

森田英一氏
beyond global グループ President & CEO

アクセンチュア勤務後、シェイク社設立を経て、beyond global社を日本とシンガポール、タイに設立し、President & CEOに就任。同社の「海外修羅場プログラム」が、「HRアワード2013」(主催:日本の人事部 後援:厚生労働省)の教育・研修部門で最優秀賞受賞。主な著作に「『どうせ変わらない』と多くの社員があきらめている会社を変える『組織開発』」(PHPビジネス新書)。