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もっと知りたい!雇用労働ナレッジノート

「多様な働き方」を推進する環境づくりが活発化しています。
働く人の現状に最良な時間や場所、そして介護や育児などの両立を支える
社会基盤の構築が大切で、そのための法整備が進んでいます。
『雇用労働ナレッジノート』では、変遷する労働法制を
分かりやすくお伝えします。

隔月連載 第G回

「過労死ゼロ」の緊急対策が本格始動、企業に求められる対応と留意点

長時間労働の是正に向け、社会全体で環境づくり
新たに策定した「ガイドライン」で指導・監督

政府は、長時間労働の是正と過労死防止に向けた対策に本格的に乗り出しました。2014年に「長時間労働削減推進本部」を設置し、総合的な取り組みを進めてきていますが、2017年1月からは「過労死等ゼロ」緊急対策に基づき、新たに企業(使用者。以下「使用者」という)向けの労働時間の適正把握に関するガイドラインを策定。周知から半年以上が経過したことを踏まえ、ガイドラインに沿った指導・監督を強化する方針です。

今年3月、政府の働き方改革実現会議が「実行計画」を公表し、その中の主要テーマのひとつに「残業時間の罰則付き上限規制」が盛り込まれました。こちらは、今秋の臨時国会に政府が改正法案を提出して、2019年度の施行を目指しているものです。

一方で、過労死防止の緊急対策に関する一連の具体的な内容は、今年から既に運用が始まっているもので、企業にとっては最新の動向に十分な理解と対応が必要です。今回の「ナレッジノート」では、「過労死等ゼロ」緊急対策などに盛り込まれた「従来との変更点」について整理し、企業が留意すべき要所をお伝えします。

「過労死等ゼロ」緊急対策とは

過労死の防止に社会的な関心が集まる中、法改正とは別に労働基準法などの法改正の前に現行法の範囲でできる対策について、「長時間労働削減推進本部」が2016年12月26日に取りまとめました。「法規制の執行強化」や「現行法の厳格適用」とも呼ばれる対応です。

緊急対策は、「【1】違法な長時間労働を許さない取組の強化」、「【2】メンタルヘルス・パワハラ防止対策のための取組の強化」、「【3】社会全体で過労死等ゼロを目指す取組の強化 の3本柱で構成されています。まずは、それぞれの主な強化策を見ていきましょう。

【1】違法な長時間労働を許さない取組の強化

違法な長時間労働を企業として組織的に是正に取り組んでもらうため、違法な長時間労働が複数の事業場であった場合、従来の事業場ごとの指導に加えて、本社の企業幹部に対する指導・立ち入り調査も行っています。
また、2015年春に導入している、是正指導段階での企業名公表制度の対象となる企業要件を拡大。違法な長時間労働の要件を「従来の月100時間超から月80時間超とし、過労死等・過労自殺等で労災支給決定した場合も対象」となりました。このほか、最低賃金の履行を重点とする監督の機会に、36協定(時間外・休日労働に関する協定届)未締結事業場に対する指導を徹底しています。

【2】メンタルヘルス・パワハラ防止対策のための取組の強化

複数の精神障害の労災認定があった場合、企業本社に対する個別指導を強化しています。また、パワハラ防止対策の一貫として、メンタルヘルス対策に関する企業や事業場への個別指導の際、パワハラ対策も含めて取り組みの指導を行っています。加えて、ハイリスクな働く人を見逃さないことが重要であるため、月100時間超の時間外・休日労働を行う労働者の労働時間等の情報を事業者が産業医へ提供することを義務化(2017年4月施行)しています。

【3】社会全体で過労死等ゼロを目指す取組の強化

個別の企業や事業場、または労働者個人の枠を越えて、社会全体の取組へと拡大させています。その際、事業主団体の協力が欠かせないため、労働時間の適正把握のほか、短納期発注や発注内容の頻繁な変更など、長時間労働の背景になっている取引慣行の是正をはじめとする緊急要請を適時展開しています。

それでは、次に【1】【3】について、具体的に何がどのように変更されたのか、また実施の具体的な動きも紹介していきます。

具体的な「変更点」のポイント、従来と現在の違い!
【1】違法な長時間労働の防止対策

〇企業本社への指導の実施

〇是正指導段階での企業名公表制度の対象

【2】メンタルヘルス・パワハラ防止対策

〇メンタルヘルスの企業本社に対する特別指導

〇パワハラ防止に向けた周知啓発

【3】社会全体で過労死等ゼロを目指す

〇労働者の相談窓口の充実

〇パワハラ防止に向けた周知啓発

使用者向け「労働時間の適正把握に関するガイドライン」とは

労働時間の適正な把握のための使用者向け「新ガイドライン」は、今年1月20日に策定されました。2016年12月26日に「長時間労働削減推進本部」が発表した「過労死ゼロ」緊急対策を受けて公表されたものです。その緊急対策の「【1】違法な長時間労働を許さない取組の強化」の中では、「新ガイドラインによる労働時間の適正把握の徹底」がうたわれており、現在、これに沿った指導・監督が実施されています。

企業にとって重要な「新ガイドライン」の正式名は、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」と言います。趣旨や適用範囲、労働時間の考え方などを体系的に整理したもので、使用者が実施すべき「基本事項」です。以下にポイントをまとめました。

【趣旨】

【適用範囲】

【労働時間の考え方】

【労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置】

ここで明示したいのは「労働者に対して適正な自己申告を行うよう十分な説明」、「労働時間の管理者に対する自己申告の適正な運用に関する十分な説明」、「自己申告に上限を定めるといった不適正な運用をしない」 ということです。

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