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もっと知りたい!雇用労働ナレッジノート

「多様な働き方」を推進する環境づくりが活発化しています。
働く人の現状に最良な時間や場所、そして介護や育児などの両立を支える
社会基盤の構築が大切で、そのための法整備が進んでいます。
『雇用労働ナレッジノート』では、変遷する労働法制を
分かりやすくお伝えします。

隔月連載 第D回

「女性活躍推進法」施行から1年、企業の対応とメリットを総点検

女性幹部登用に向けた「企業の行動計画」を透明化
環境整備を急ぎ、2020年に欧米並みの水準目指す

2016年4月に施行された女性活躍推進法。現在、政府が動きを加速させている「働き方改革」のテーマの中には、「女性や若者が働きやすい環境整備」も挙げられています。同推進法は、企業内における女性幹部の登用を促すことを法制化した新法で、女性の働きやすい環境づくりの中核的部分を「先行実施」したと言えるでしょう。正式な法律名は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」です。

さて、施行から約1年が経過しましたが、一般的には、「女性幹部の登用率の向上」「そのための実行計画を企業ごとに策定」といった漠然とした印象があり、実行計画の策定義務化の要所や段取り、さらにはメリットなどまで含めると、まだうまく活用しきれていない企業も少なくないようです。
また、労働者が301人以上の大企業に課せられた義務で、中小企業は努力義務なので無関係と認識している部分も見受けられますが、300人以下の中小企業でも、行動計画を策定して実行へ移していけば、一定の手続き後、厚生労働大臣から「認定マーク」を付与される仕組みとなっています。
女性活躍推進法に盛り込まれた企業の取り組みについて、施行1年を節目にあらましと要所をおさらいします。

「女性活躍推進法」は施行から10年間の時限立法、その背景とは

女性活躍推進法の主眼は、女性が職業生活において、その希望に応じて十分に能力を発揮・活躍できる環境づくりにあります。企業が策定する行動計画は、都道府県労働局に届け出るほか、一般に公表することが求められています。つまり、策定した内容を企業内部だけの「共有事項」としてとどめず、一般に公表することで内容と実行が常に評価される、いわば「透明化」で実践を促しているのが特徴です。そして、10年間の時限立法だけに、企業の対応は迅速さが必要になります。

実行計画を実践しなくても、あるいは到達できなくても、「罰則」はありません。しかし、「透明化」による外部評価に相応の効き目があると見込まれています。

ところで、現在の日本における女性の幹部登用率の状況はご存じでしょうか。法律の立法趣旨などによると、労働力人口の減少に歯止めがかからない日本が、緩やかでも経済成長を持続していくには、女性にもっと社会進出してもらうことが不可欠とされています。これは、働き手の増大だけではなく、日本は女性管理職の割合が他の先進国に比べて低いことが指摘されています。就業者全体に占める女性の割合は4割を超えており、欧米に見劣りするものではありませんが、女性管理職の比率となると10%前半。欧米の35%前後に比べ、低い水準にあるようです。

就業者及び管理職に占める女性の割合(2013年)

政府は、女性の活躍を成長戦略のエンジンのひとつと位置づけ、3年後の2020年までに指導的地位に就く女性比率を30%まで引き上げるとの目標を設定しています。

では、法律を踏まえ、具体的に企業が実行しなければならないことは、どのような対応でしょう。

法律の趣旨

企業が実行計画を策定する手順には「3つのステップ」があります

企業が取り組む「3つのステップ」をおさらいします。なお、計画期間については、女性活躍推進法が2025年までの時限立法となっているため、2年間や5年間に区切り、行動計画を検証して改定をすることが適切とされています。

[第一段階] 自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析
[第二段階] 課題を解決するのに適した数値目標と取り組みを盛り込んだ行動計画の策定・周知・公表
[第三段階] 都道府県労働局に届け出

企業が取り組む「3つのステップ」

国の行動計画策定指針

「301人以上」と「300人以下」で線引きした考え方などについて

Q&A

認定企業(えるぼし認定企業)が 公共調達で有利に

行動計画を策定し、各都道府県労働局に届け出を行った企業のうち、女性の活躍推進に関する状況が優良な企業は、都道府県労働局への申請をすることで、厚生労働大臣の「認定」を受けることができます。これが通称「えるぼし認定企業」と呼ばれるものです。

「えるぼし認定」を受けると、段階に応じたマークを企業パンフレットや社員の名刺に使用できるだけでなく、昨年10月から各省庁で公共調達に有利となる扱いを始めました。今後は、各省庁に準じて、地方公共団体も採用することになっています。

認定には3段階の区分があり、5つの評価項目のうち、
□ 5つの基準全て満たしている場合は、3段階目(星3つ)
□ 3つまたは4つの基準を満たしている場合は、2段階目(星2つ)
□ 1つまたは2つの基準を満たしている場合は、1段階目(星1つ)
となっています。マークの色と星の数が異なります。

5つの評価とは、@採用、A継続就業、B労働時間等の働き方、C管理職比率、D多様なキャリアコース となります。

【採用】
男女別の採用における競争倍率(応募者数/採用者数)が同程度であること

【継続就業】
@「女性労働者の平均継続勤務年数÷男性労働者の平均継続勤務年数」が雇用管理区分ごとにそれぞれ0.7以上であること(期間の定めのない労働契約を締結している労働者に限る)
または、
A「10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された女性労働者の継続雇用割合」÷「10事業年度前及びその前後に採用された男性労働者の継続雇用割合」が雇用管理区分ごとにそれぞれ0.8以上であること(期間の定めのない労働契約を締結している労働者かつ新規学卒採用者等に限る)

【労働時間等の働き方】
雇用管理区分ごとの労働者の法定時間外労働及び法定休日労働時間の合計時間数の平均が、直近の事業年度の各月ごとにすべて45時間未満であること

【管理職比率】
@管理職に占める女性労働者の割合が別に定める産業ごとの平均値以上であること
または
A直近3事業年度の平均した「課長級より1つ下位の職階にある女性労働者のうち課長級に昇進した女性労働者の割合」÷ 直近3事業年度の平均した「課長級より1つ下位の職階にある男性労働者のうち課長級に昇進した男性労働者の割合」が、0.8以上であること

【多様なキャリアコース】
直近の3事業年度に、以下4つの項目について、大企業は2項目以上(非正社員がいる場合は必ずAを含むこと)、中小企業については1項目以上の実績を有すること
1. 女性の非正社員から正社員への転換(派遣労働者の雇入れ含む)
2. 女性労働者のキャリアアップに資する雇用管理区分間の転換
3. 過去に在籍した女性の正社員としての再雇用
4. おおむね30歳以上の女性の正社員としての採用

「えるぼし認定」だけでない 〜女性のワーク・ライフ・バランスを推進する企業への公共調達の後押し〜

公共調達の関係では、「えるぼし認定」のほかにも、「ワーク・ライフ・バランス」に取り組む企業に対して、幅広く評価する仕組みがあります。「えるほし認定」は女性活躍推進法に基づいてスタートしたものですが、2005年に施行された次世代育成支援対策推進法に基づく認定として、「くるみん」「プラチナくるみん」があります。

また、若者の雇用促進に向けた総合的な取り組みの基盤となる改正勤労青少年福祉法・通称「若者雇用促進法」が2015年4月に施行されましたが、こちらには「ユースエール認定」があり、公共調達のうち、価格以外の要素を評価する調達(総合評価落札方式・企画競争方式)を行う場合は、契約内容に応じて、ユースエール認定企業を加点評価するよう、国が定める「女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針」で示されました。

「えるぼし認定」、「くるみん・プラチナくるみん認定」、「ユースエール認定」はそれぞれ異なる法律から誕生したものですが、いずれも「ワーク・ライフ・バランスの取り組みのうち重要な長時間労働の抑制に関する基準を設けている」のが特徴です。

※「若者雇用促進法」については、第3回ナレッジノートで事業者視点から解説しています。

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