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もっと知りたい!雇用労働ナレッジノート

「多様な働き方」を推進する環境づくりが活発化しています。
働く人の現状に最良な時間や場所、そして介護や育児などの両立を支える
社会基盤の構築が大切で、そのための法整備が進んでいます。
『雇用労働ナレッジノート』では、変遷する労働法制を
分かりやすくお伝えします。

隔月連載 第A回

2017年1月施行の「改正育児・介護休業法(育介法)」のポイント

「仕事と育児・介護」の両立を強く支援、
介護休業の分割取得や子の看護休暇に柔軟性

「働き方改革」を実現するため、各種の労働関係法令の改正が進んでいます。政府が、おおむね3年後の実現を目指す「同一労働同一賃金」などの議論の行方も注目されていますが、すでに先の通常国会で成立した法案が複数あり、施行に向けた詳細が固まってきています。それに向けての対応が必要になります。
施行が決まっている労働法制関係のひとつに、「改正育児・介護休業法(育介法)」があります。これは、「仕事と育児」、「仕事と介護」の両立支援をバックアップすることが狙いで、企業の対応や体制づくりが求められています。2017年1月1日の施行まですでに半年を切っています。今回は、この「育介法」の要所をメインとし、これまでの「ルール」の違いに焦点をあてて解説します。
また、「働き方改革」に関連して、長時間労働是正に向けた行政の指導監督の変更点と、労働者派遣法の事業所単位の期間制限のうち、「派遣先の労使間による意見聴取と受け入れ期間の延長」の留意点と遵守すべき事項も図解でご紹介します。

ここが変わった!「改正育児・介護休業法(育介法)」の趣旨と経緯

今年の通常国会で、予算関連法案となる「雇用保険法改正案」の中に、関連する法整備として「育児・介護休業法(育介法)改正案」をはじめ、高年齢者雇用安定法、男女雇用機会均等法、労働保険徴収法など6法案がセットで3月29日に成立しました。
その後、育介法については、支援の拡充を受けられる対象範囲や国、企業が果たす役割の細目などを定める「政省令審議」が行われ、6月27日に「告示内容」がすべて整いました。

この「改正雇用保険法」に連動する「改正育介法」ですが、大きな目的は「柔軟な働き方を従来以上に促進・支援する」ということ。しかし、法律が複数にまたがっているため、「概要と要点」についてそれぞれ整理しておくと便利です。
ここでは、@『改正雇用保険法』について、「改正育介法」においては2つに分けてA『仕事と介護の両立支援』、B『仕事と育児の両立支援』全体で3つに分類してご紹介します。まずは、原点となる改正の趣旨を記します。

概要と要点

@ABの3つの改正、具体的には「どこが、どのように変わったのか

簡潔にまとめると、@「改正雇用保険法」は、介護休業給付金を休業前の賃金の40%から67%に引き上げ(今年8月)、会社員らが負担する失業等給付の雇用保険料率はすでに今年の4月から1.0%から0.8%に引き下げられています。

Aの「仕事と介護の両立支援」は、介護休業(通算で最長93日)をこれまでの1回から最大3回まで分割取得できるようになり、介護や施設探しなどの介護体制の構築のために必要に応じて取れるようになります。来年1月からスタートします。

Bの「仕事と育児の両立支援」は、育児休業の対象となる子の範囲の拡大や育児休業の申し出ができる有期契約労働者の要件の緩和などを実施します。

これまでがどのような「ルール」になっていて、これから(施行日から)どのように変化するか、下記の丸わかり「改正内容」と「対比表」を参照ください。

@ 改正雇用保険法の内容

A 「仕事と介護」の両立支援の対比表

B 「仕事と育児」の両立支援の対比表

長時間労働是正に向けた厚労省による指導監督の変更点

長時間労働の削減は、これまでの政策の延長線上にもあることから、厚生労働省は過重労働の撲滅に向けて対応を進めています。法改正だけでなく「働き方改革」は現行法の中でも変化しているため、留意と遵守が必要になります。

長時間労働の是正については、政府が残業割増賃金の引き上げなどを盛り込んだ労働基準法改正案を国会に提出していますが、昨年から2国会にわたり審議入りもできない状況にあるため、厚労省は法改正以外の規制強化の対応に乗り出しています。その中心は、月100時間を超える残業が行われている事業所に対する労働基準監督署の指導基準を、同80時間超に拡大されたところにあります。立ち入りの基準を80時間に引き下げたのは、残業が80時間を超えると体調や精神面など健康障害のリスクが高まるためです。

厚労省が昨年4〜12月に100時間残業の事業所8530カ所を調査したところ、労基法の違反は76.2%にあたる6501事業所に認められました。主な違反は違法残業が4790事業所、賃金の不払いが813事業所にのぼりました。

労働力調査などからの推計では、昨年の全国の常勤労働者約5000万人のうち、80時間以上の残業をした人は約300万人、100時間以上は約110万人。また、仕事を家に持ち帰るサービス残業をした人も、2014年度で20万人を超えて過去最高になったとみられます。

これにより、厚労省は2014年に「長時間労働削減推進本部」を設け、過重労働撲滅キャンペーンを展開して過労死防止などに努めています。

改正派遣法、事業者単位の受け入れ期間制限における「労使間で意見聴取」の重要性ときまり

「第@回」では、派遣法の抜本改正の「理念と基本的事項」についてお伝えしました。その中で、派遣社員の事業所単位の受け入れの期間制限で「派遣先の労使間で意見聴取を行うことによって、さらに3年の延長が可能」となる点をご説明しました。

その際の「重要な手続きや対応」に絞って解説します。これを逸脱すると法律違反となりますので細心の注意が必要となります。(下図参照)

■ 派遣先の意見聴取の手続きに関するイメージ

メモ

このように、派遣先は、正当な手続きを踏まないと、単純に事業所で3年を超えて派遣を受け入れることはできません。これは、2018年7月ごろから重要となってきますので、現時点で特段の変化がないと思われている企業様も十分に意識しておく必要があります。

なお、手続きを踏んで、過半数組合等から「受け入れ反対」の意思を示された際は、「意見は聞きました」では容認されません。会社または事業所として意見を十分に尊重し、「理由と説明」の明確な対応が不可欠となります。

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