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第190回国会の総括〜厚生労働関係の政府提出法案の検証〜

6月1日に150日間の会期を終えて閉幕した国会は、第3次安倍改造内閣として初めて臨んだ国会でしたが厚生労働関係の法案がどのような結果だったのか説明します。

2016年1月4日に開会した第190回通常国会は、6月1日に150日間の会期を終えて閉幕しました。昨年10月に発足した第3次安倍改造内閣として初めて臨んだ国会でしたが、厚生労働関係の法案はどのような結果となったのでしょうか。

政府提出の厚生労働関係法案は、最終的に新規8本、労働基準法改正案など前国会からの継続審議法案は3本となりました。法案ごとの結果と経過は下表の通りです。これら11本のうち、成立したのは8本でした。労働基準法改正に関しては、前国会に引き続き未着手となりました。

表1:第190回国会 厚生労働関係政府提出予定法案

新規提出予定法案(※は予算関連)
  1. 成立(1)雇用保険法等の一部を改正する法律案(育児・介護休業法など6法案セット)※
  2. 成立(2)戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案 ※
  3. 成立(3)児童扶養手当法の一部を改正する法律案 ※
  4. 成立(4)特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案 ※
  5. 成立(5)児童福祉法等の一部を改正する法律案
  6. 未着手・継続審議(6)公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案(仮称)
  7. 成立(7)障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案
  8. 継続審議(8)臨床研究法案(国会開会時「提出検討中」に置いていた法案を5月13日に提出)
前国会で衆議院において継続審査となっていた法案
  1. 未着手・継続審議(9)労働基準法等の一部を改正する法律案
前国会で参議院において継続審査となっていた法案
  1. 成立(10)社会福祉法等の一部を改正する法律案
  2. 成立(11)確定拠出年金法等の一部を改正する法律案

なお、秋の臨時国会でも動向が注目される労働基準法改正案は、以下の内容などが盛り込まれています。

  1. 1. 労働時間でなく成果で評価される「高度プロフェッショナル制度(高度プロ制度)」の創設
  2. 2. フレックスタイム制の清算期間を現在の1カ月から3カ月に延長
  3. 3. 裁量労働制の対象となる企画業務型に、法人向けの課題解決型提案営業等を付加
  4. 4. 年次有給休暇が10日以上ある労働者の場合、5日は企業側が時季指定
  5. 5. 中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用猶予廃止

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労働関連トピックス
「同一労働同一賃金」の議論続く

政府は6月2日、今後10年間の中長期の政策を盛り込んだ 「ニッポン一億総活躍プラン」を閣議決定しました。一億総活躍国民会議(政府の直轄会議)が5月にまとめた「成長戦略の一環」です。その中の「働き方改革」では、正社員以外の労働者の待遇改善を重要課題と位置づけ、「同一労働同一賃金の実現に踏み込む」と記載。正社員とそれ以外の労働者の間にある「合理的理由のない待遇の差」を明示するガイドラインを作成(年内を目途)し、関連する法律(労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法)の改正を3年後の2019年度までに実施するという目標年次も示されました。

時間をかけた議論の見通し

同会議は、議長を務める安倍首相と、加藤勝信・一億総活躍担当相(議長代理)を先頭に、関係11大臣と有識者15人で構成。政府が掲げる「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」のいわゆる「新・三本の矢」を実現するためのプラン策定などを検討するテーブルです。

「同一労働同一賃金」は、基本的には雇用形態にかかわらず同じ仕事に同じ賃金を支払うという考え方です。これまでにもさまざまな話し合いが行われてきましたが、今後も時間をかけて議論が行われる見通しです。

キーワードは「合理的、客観的な理由」

同会議に参考人として招かれ、導入に向けた考え方を提言している東京大学社会科学研究所の水町勇一郎教授は、欧州(EU、フランス、ドイツ)の関係法令などを踏まえて、「基本的には客観的な理由がない限り、非正規労働者に対し不利益な取り扱いをしてはならない。客観的な理由があれば、賃金に差を設けるなどの取り扱いも認められる」と整理しています。

また、「フランスでは提供された労働の質の違い、在職期間(勤続年数)の違い、キャリアコースの違い、企業内での法的状況の違い、職業格付けの違いなどが、賃金の違いを正当化する客観的な理由と認められると解釈されている」と話しています。

今後は、3月下旬に厚生労働省に設置された有識者会議で議論を深めていくと思われますが、「合理的、客観的な理由とは何か」、「職場での責任と均等とは何か」といった観点が重要なポイントになりそうです。

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労働関連法トピックス
精神障害者の就職が急増−2015年度障害者雇用、厚労省調査−

厚生労働省が発表した2015年度「障害者の職業紹介状況」によると、ハローワークを通じた障害者の就職件数は9万191件(前年度比6.6%増)と大きく伸びて7年連続で増加、過去最高を記録しました。就職率も48.2%(同1.0ポイント増)に上昇、精神障害者の就職が大きく伸びています。障害者の新規求職申し込み件数は18万7198件(同4.5%増)でした。(グラフ1)

障害別の就職件数は、身体障害者が2万8003件(同0.6%減)と減少したのに対して、知的障害者は1万9958件(同6.6%増)、精神障害者も3万8396件(同11.2%増)となり、精神障害者が大きく増えています。(グラフ2)
産業別では「医療・福祉」の3万3805件、製造業の1万1933件、卸・小売業の1万1577件が上位3位。職業別では「運輸・清掃・包装等」が3万1393件と最も多い35%を占め、「事務」が1万8469件、「生産工程」が1万1599件、「サービス」が1万819件と続いています。

グラフ1:障害別の新規求職申し込み件数

グラフ2:障害別の就職件数

改正障害者雇用促進法が2016年4月に施行され、差別禁止などの規制が強まりましたが、法定雇用率は新たに精神障害者も算定されることになり、2018年度から施行されます。

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