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第190回国会召集〜厚生労働関係の政府提出予定法案は「新規7本」、「継続審議3本」〜

1月4日に第190回国会が召集されましたが、5月下旬の伊勢志摩サミットや、7月の参院選が控えていることもあり、予算案以外の政府提出法案の審議・成立は限定的となることが見込まれていることなど、現況についてご紹介します。

第190回通常国会が1月4日に召集されました。「1月召集」が慣例化して以降、最も早い日程となります。しかし、5月下旬に8年ぶりの日本開催となる主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や、7月には参院選(半数改選)が控えていることもあり、予算案以外の政府提出法案の審議・成立は限定的となることが見込まれますが、雇用・労働関係で使用者側や人事・総務部などが2016年中に対応を求められる法案「育児・介護休業法改正案を含む雇用保険法等の一部を改正する法律案」があります。今年の国会は、参院選を挟んだ「秋の臨時国会」と通年で見通す必要がありそうです。

まず、昨年の通常国会で審議入りもできないまま継続審議となっている労働基準法改正案については、今国会でも審議入りの見通しは立っていません。会期通り国会を閉じると、6月1日が閉会日。「7月10日」の投開票が有力視されている参院選を視野に入れると、延長はあっても一週間から10日程度と見込まれます。
そうした中、厚生労働関係の法案は下表(表1参照)の7本が新規に提出される見通しで、3本が継続審議の法案です。現実的な視点に立ち、政府・与党は参院選後の臨時国会を含めた「年間を見通した期間での各種法案の成立」を考えています。

表1:第190回国会 厚生労働関係政府提出予定法案

新規提出予定法案(※は予算関連)
(1)雇用保険法等の一部を改正する法律案 ※
(2)戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案 ※
(3)児童扶養手当法の一部を改正する法律案 ※
(4)特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案 ※
(5)児童福祉法等の一部を改正する法律案
(6)公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案(仮称)
(7)障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案
前国会で衆議院において継続審査となっている法案
(8)労働基準法等の一部を改正する法律案
前国会で参議院において継続審査となっている法案
(9)社会福祉法等の一部を改正する法律案
(10)確定拠出年金法等の一部を改正する法律案

注意:上表の各法案は厚生労働委員会関係であり、衆議院法務委員会で審議入りして継続審議となっている外国人の技能実習制度を抜本的に見直す「外国人技能実習適正実施法案」は、含まれておりません。

労働関連法トピックス
育児・介護休業法などの改正案提出〜予算関連の雇用保険法など「改正6法案セット」で早期成立へ〜

上記で記した「雇用保険法等の一部を改正する法律案」ですが、この内容とゆくえには留意が必要です。労働政策審議会の第168回雇用均等分科会(田島優子分科会長)は、年明けに厚生労働省が提示した育児・介護休業法(以下「育介法」)などの改正案要綱を「概ね妥当」と答申しました。政府は、予算関連の雇用保険法改正案の中に育介法改正案や男女雇用機会均等法(以下、「均等法」)改正案など計6本をセットにして、1月下旬に国会に提出します。3月末までの成立、来年2017年1月1日の施行を目指しています。使用者側・雇用側にとっては就業規則の改訂など、対応が必要な法改正となる見通しです。

育介法改正の要点は、「介護休業(最大93日まで)の取得回数を現行の1回から3回までの分割取得を認める。パートなど非正規労働者の育児・介護休業は1年以上の勤務実績があり、子供が1歳半になるまで労働契約が満了しない場合や、介護休業で93日以降も半年間は満了しない場合なども対象にする」――など取得要件の緩和が中心です。
また、非正規の被害者が多いマタニティー・ハラスメントの防止に関する規定も新設するため、均等法や労働者派遣法なども一部改正。厚生労働省は女性活躍推進法の成立や今回の法改正に合わせる形で、全国の労働局を組織再編して、4月から「雇用均等室」を昇格させ、労働基準部や職業安定部の一部を取り込んだ「雇用環境・均等部(室)」(仮称)を設置します。パワハラ、マタハラなどの未然防止や個別相談の窓口を一本化し、専門官を増やして対応する予定です。

現行の介護休業取得は93日を上限に1回

総務省の就業構造基本調査によると、家族などの介護で離職を余儀なくされる人は毎年7〜9万人にのぼり、2011年度では約9.5万人、そのうち8割以上が女性となっています。介護離職が絶えない理由の一つに、介護休業制度の使い勝手の悪さがあり、実際に介護をしている約240万人のうち、支援制度を利用している人の割合は16%で、さらに介護休業制度の利用者は3.2%に過ぎません。

現行制度では、介護休業は93日を上限に1回しか取得できないため、休業期間が長くなると職場復帰が困難になり、結局は離職するケースが多いのが実情です。このため、同分科会では93日という期間は変えないものの、取得回数を3回に分割して使いやすくすることを提言しました。

分割取得ができれば、「仕事を続けながら家族を在宅介護から施設介護へスムーズに移行できるといったことが可能になり、離職の防止につながる」と判断しました。また、介護休業を取らない間も、社員が勤務時間短縮やフレックスタイム制など、どれか利用できるよう、企業に努力義務を課しているのが特徴です

有期契約労働者の取得も緩和へ

一方、育児休業については正社員に比べて非正規社員(有期契約労働者)の取得向上も盛り込まれています。現行では(1)同一企業での雇用期間が1年以上、(2)子供が満1歳になってからも雇用が見込まれる、(3)子供が1歳になった後、1年の間に契約期間が終わる人は除く――といった要件が必要とされています。しかし、(2)の要件は労使双方にとってわかりにくいことから削除し、(3)の「1歳」を「1歳半」に延長しています。

また、介護休業についても、現行では(1)同一企業での雇用期間が1年以上、(2)93日の休業日を過ぎてからも、引き続き雇用が見込まれる、(3)93日経過後、1年以内に契約期間が終わる人は除く――という要件が必要ですが、育児休業と同様に(2)を削除し、(3)の「1年」を「6カ月」に短縮することで、取得を容易にする措置を講じられます。

その他労働関連法トピックス
多様な働き方を支える労働環境の改善――規制改革会議の雇用ワーキンググループが議論開始

政府の規制改革会議の雇用ワーキンググループ(鶴光太郎座長)は昨年2015年12月17日、新たなテーマとして「多様な働き方を支える働く場所・時間等の一体的改革」について議論を開始しました。働く人の労働環境については労働安全衛生法や労働契約法などで、企業に対してさまざまな規制や義務を課していますが、現代の多様な就労形態に追い付けない部分も多く、抜本的、包活的な改革が必要ではないかとの問題意識に基づいたものです。

この日は浦野光人、佐久間総一郎両委員から議論のたたき台が示されました。「健康・安全・安心が確保される働き方について」と題して、

(1)後継者不足が深刻化している1次産業従事者の働き方
(2)情報通信技術を活用した働き方は時間や場所にとらわれない半面、働き過ぎを誘発する側面がある
(3)いわゆる「ブラックバイト」のような問題を避けるため、労働者自身の人事労務知識の必要性

――などについて健康確保措置のあり方に関する問題提起がありました。
同グループは今後、関係者からのヒアリングなどを通じて論点整理を進め、関連法やガイドラインなどの改正の必要性について議論を進める方針です。

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