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「与党修正」の派遣法改正案を閣議決定、国会に提出 ― 5月までに審議入り、9月施行を目指す ―

先の通常国会・臨時国会と2度にわたって廃案となっていた労働者派遣法改正案は、3月13日に閣議決定され今国会に提出されました。5月の審議入りを目指す改正法案について解説します。また、今国会に提出(予定)の厚生労働関連の改正法案についてもご紹介します。

政府は3月13日、期間制限のあり方を抜本的に見直す労働者派遣法改正案を閣議決定し、衆議院に提出しました。1985年の派遣法制定以来、幾度もの改正を経てきましたが、期間制限のなかった政令26業務を撤廃して「同一業務の上限を人で3年」とするなど大幅な改正。5月までの審議入りを目指し、今国会(第189回通常国会)で成立すれば9月の施行となります。

改正法案の柱は、(1)行政の指導・監督時における裁量行政が要因との指摘が挙がっていた「政令26業務の完全撤廃」、(2)業務単位による期間制限を個人単位(上限3年)とする「業務から人への見直し」、(3)すべての労働者派遣事業を許可制とする「特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区分の撤廃」――など3点。
このほか、派遣労働者に対する派遣元の雇用安定措置や、キャリアアップのために必要な環境整備を義務化するなど、従来までの改正のたびに使われた「規制の緩和か強化か」といった単純な色分けを超えた内容となっているのが特徴です。

今回の「与党修正」は、これまで2度にわたって政府が提出してきた改正法案の内容を「変更」するものではなく、新たにいくつかの条文や付則を「書き加えた」ものです。つまり、これまで提出してきた法案の趣旨を変えるものではありません。修正部分は、昨年の第187回臨時国会で公明党が提案してきた6項目が軸となっています。

一方、改正案の提出に先立つ3月5日、衆議院議院運営委員会の理事会が開かれ、「重要広範議案」に指定されました。昨年の臨時国会に続いて2度目となります。一般的にはあまり耳慣れない言葉ですが、成立までの審議過程に制約や条件などがつきます。

重要広範議案とは
重要広範議案はそれぞれの国会ごとに与野党が特に重要と位置付ける法案で、2000年1月に当時の各党の申し合わせで決まった慣例。指定されると、他の法案とは異なり、衆参それぞれの本会議で所管大臣による趣旨説明、質疑を行う必要があります。また、各委員会、今回の派遣法改正案で言えば厚生労働委員会となりますが、大詰めの審議に首相の出席が必須とされています。

労働基準法トピックス
成果型の「高度プロ制度」導入などの労働基準法改正、3月下旬に国会提出 今国会での成立は微妙な情勢

労働政策審議会の第128回労働条件分科会(岩村正彦分科会長)は3月2日、成果型となる「高度プロフェッショナル制度」の創設など、労働基準法を改正する要綱を了承、塩崎厚生労働大臣に答申しました。同分科会は2013年秋から計25回にわたってこの課題を議論してきましたが、この日の答申で審議を終えたことになります。厚生労働省(以下、厚労省)は、要綱に沿って改正法案を作成、3月下旬に政府が国会に提出します。

要綱に盛り込まれた主要項目は、(1)労働時間でなく成果で評価される「高度プロフェッショナル制度」を創設、(2)フレックスタイム制の清算期間を現在の1カ月から3カ月に延長、(3)裁量労働制の対象業務に、従来の専門業務型に企画業務型などを追加、(4)年次有給休暇が10日以上ある労働者の場合、5日は企業側が時季指定、(5)中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率を適用――などです。

このうち、(1)は第1次安倍政権が導入を図ろうとして取りやめた「ホワイトカラー・エグゼンプション」と同じもので、すでに企業の管理職には適用されており、年俸制労働者らにも実質的に適用されています。ただし、法制度として“認定”されるのはこれが初めてです。労働者側は「働き過ぎに歯止めが掛からなくなる」として最後まで反対し、答申にも付帯意見として盛り込みましたが、「働き方の選択肢を増やすには有効」として賛成した企業側が押し切りました。

具体的な対象業務と対象労働者は省令で規定されますが、すでに「年収1075万円以上の金融ディーラー、ITアナリストなど」とする方針が示されており、省令もこれと同じ内容になる見通しです。

今回の答申を受け、厚労省は3月末までに改正法案を国会提出、今国会で成立させ、来年4月からの施行を目指しています。ただし、(5)については2019年度からとしています。しかし、同改正案の審議入りの順番は、労政労働関係9本のうち最後に位置しており、今国会での成立は微妙な情勢です。

厚生労働関連トピックス
国会へ、厚生労働関係の政府提出法案 〜提出予定9件、検討中3件の概要〜

今国会に政府は、全体で新規法案72本の提出と成立を目指しており、このうち、厚生労働関係は3度目の提出となる労働者派遣法改正案や労働基準法改正案など9法案が予定されています。法案の提出時期や概要、審議の見通しなどについて整理します。

まず、雇用・労働を含む厚労分野の法案は、基本的に衆参の厚生労働委員会に付託されます。ここで留意すべき点は、(1)先の臨時国会で衆議院通過の一歩手前で廃案となった「女性活躍推進法案」は前回同様に内閣委員会で、(2)外国人技能実習に関する新法(予算関連)は法務委員会で審議される――ということです。

この2法案を含め、厚労関係の9法案と提出検討中の3法案の合計14法案について、厚労委員会の与党幹部に配布された資料を基に見て行きます。 厚生労働関係の提出予定法案9本は以下に大別されます。

  • ● おおむね3月までの審議となる予算関連:2本
  • (1)戦後70年を念頭に入れた戦没者の妻らに対する特別給付金支給法改正案
  • (2)国民健康保険法改正案
  • ● 4月以降審議となる予算外関連:7本
  • (3)厚労省所管の独立行政法人改革推進法案
  • (4)労働者派遣法改正案
  • (5)勤労青少年福祉法改正案
  • (6)社会福祉法改正案
  • (7)医療法改正案
  • (8)労働基準法改正案
  • (9)確定拠出型年金法改正案

また、提出検討中の3本は、年金積立金管理運用機構法案(GPIF)と、国民年金法改正案、医薬品の臨床研究における被験者の保護・広告の適正化に関する法案となっています。日程的に提出予定法案をすべて成立させるのも困難な状況からみて、この3本の提出は現実的に厳しい模様です。
これらの今国会の「大枠と特徴」を踏まえたうえで、雇用・労働関係の法案について個別に整理していきます。

労働者派遣法改正案

与党修正を経て、3月13日に提出されました。与党は5月の本格審議を描いています。同法案の中身や経緯、要所については、いままでのニュースレターで詳報しておりますので本号では割愛します。

※詳細についてお聞きになりたい場合は、営業担当までご連絡ください。

労働基準法改正案

労働者側と使用者側のどちらかだけに有利とか不利とか単純な内容でないため、双方から指摘の多い法案です。詳細は上記の労働基準法トピックス「成果型の「高度プロ制度」導入などの労動基準法改正」の記事をご参照ください。

勤労青少年福祉法改正案

現行法の改正というより、「若者雇用促進(対策)法」という新法を設ける格好です。1970年に施行された同法は、「青少年雇用促進法」(若者雇用促進法)と名称が変更され、雇用促進に向けた総合的な取り組みの基盤となります。
同法の改正に関する国会審議をめぐっては、参議院先議で進める方向で与野党の調整が続いています。政府はタイトな審議日程を鑑み、与野党の「対決法案」となっていない同法案を速やかに可決、成立させたい意向です。同法改正に併せて、職業能力開発促進法も一部改正されます。

改正内容としては名称変更を一つの節目に、「適切な職業選択の支援に関する措置」と「職業能力の開発・向上に関する措置」を新たに盛り込みます。
前者では、(1)国、地方自治体、事業主などとの責任の明確化、(2)適職選択のための取り組み促進、(3)職業能力開発および自立支援 ―― を掲げて具体的な施策を講じる予定。後者では、(1)ジョブカードの普及・促進、(2)キャリアコンサルタントの登録制の創設、(3)対人材サービス分野などを対象にした技能検定制度の整備――を計画しています。技能検定の正式な実施は「2016年4月」を見込んでいます。

外国人技能実習に関する新法(法務省と共同提出)

実習実施期間の届け出、監理団体の許可、技能実習計画の認定などについて新たな制度を設け、これらの事務を新設する技能実習機構(仮称)に行わせる法案です。実務面でみると、現行の仕組みより厳しくする半面、研修期間の延長や受け入れ職種の拡大も含まれます。

3月から4月にかけて審議される見通しですが、予算に絡む新設の機構設置以外の部分は、法案成立後の政省令などで4月以降に定める方針です。

女性活躍推進法案(内閣官房所管)

3月中旬に提出。女性の活躍を広げる狙いで管理職の割合などに限定的ながらも数値目標や公表を義務づけます。厚労省令で「事業主行動計画策定指針」を定めることとし、行動計画には計画期間、達成目標、取り組み内容、実施時期などを盛り込み、達成目標については「定量的に定めなければならない」として数値目標の設定を義務化しています。ただし、対象は従業員301人以上の企業に限定。

採用者に占める女性比率、勤続年数の男女差、労働時間の状況、管理職に占める女性比率の4つを「必須項目」とし、教育訓練や登用状況などを「任意項目」としています。

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