人材派遣システム・派遣法について

「派遣」と「請負」とはなにが違うのですか

請負と派遣との特徴的な違いのひとつは、請負は請負った事業者が注文主から独立して労働者に対する業務指示や労務管理を行うのに対し、派遣は派遣先の社員から直接指示(指揮命令)を受けて派遣先のために労働に従事する制度であるという点です。
これは、労働者派遣事業であるか否かを判断する上での基準のひとつですが、上記以外にも両者の違いはいろいろとあり、厚生労働省では「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)を定めて、労働者派遣事業の適正な運営確保のために両者の区分を具体的に示しています。

なお、ここでいう「請負」の言葉ですが、これは仕事の完成を目的とする場合(民法第632条の請負契約の場合)と事務処理を目的とする場合(民法第643条の委任契約もしくは第656条の準委任契約の場合)の2つを含めて使われます(同じ意味で「業務委託」の言葉が用いられることもあります)。

「一般労働者派遣」と「特定労働者派遣」はなにが違うのですか

一般労働者派遣事業
特定労働者派遣事業以外の労働者派遣事業をいい、例えば登録されている者の中から派遣契約の期間のみ雇用契約を締結して労働者派遣を行ういわゆる登録型派遣事業がこれに該当します。
一般労働者派遣事業を行うには、厚生労働大臣の許可を受けなければなりません。
特定労働者派遣事業
常時雇用される労働者だけを労働者派遣の対象として行う労働者派遣事業をいいます。厚生労働大臣に届出を行うことで派遣事業が行えますが、常時雇用される労働者以外の派遣労働者を1人でも派遣する場合には、一般労働者派遣事業の許可が必要となります。

※アデコでは、一般労働者派遣事業の許可を得て事業を行っております(派13-010531)。

特定労働者派遣がなくなると聞きましたが

改正派遣法施行(2015年9月30日)以後、一般労働者派遣事業(許可制)、および特定労働者派遣事業(届出制)の区別は廃止となり、すべての労働者派遣事業が新たな許可基準に基づく許可制となります(派遣法第2条・派遣法第7条)。

施行日時点で特定労働者派遣事業を営む事業者には許可制への移行に際して3年間の経過措置(2018年9月29日まで)が適用され、この期間内に新労働者派遣事業の許可を取得できない場合は、3年経過をもって労働者派遣事業を実施することができなくなります(附則第6条第1項)。

※小規模特定派遣事業者については許可要件に一定の配慮措置が設けられています。

2015年の改正派遣法で大きく変わった点はどのようなことですか

大きな変更点は以下のとおりです。

  • (1)業界の健全化
    • すべての労働者派遣事業を許可制に(許可の取り消しが可能に)
    • 許可要件にキャリア形成支援制度を有することを追加
  • (2)派遣労働者の雇用安定とキャリアアップ
    【派遣元】
    ①派遣労働者に対する計画的な教育訓練や、希望者へのキャリア・コンサルティングの義務付け。
    ②派遣期間終了時の派遣労働者の雇用安定措置の義務付け。
    【派遣先】
    ①事業所における正社員等募集情報提供の義務付け。
    ②優先雇用の努力義務。
    ③派遣元の求めに応じ、派遣労働者の職務遂行状況や遂行能力の向上度合など派遣元によるキャリアアップ支援に必要な情報を派遣元に提供する努力義務。
  • (3)より分かりやすい派遣期間制限への見直し
    事業所単位と個人単位の期間制限
    • 派遣先の同一の事業所に対し派遣できる期間は原則3年が限度(派遣先が3年を超えて派遣を受け入れようとする場合には、派遣先事業所の過半数労働組合等への意見聴取が必要)。
    • 同一の派遣労働者を派遣先事業所における同一組織単位に対し派遣できる期間は3年が限度。

派遣できない業務はどのようなものがありますか

派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)では、派遣の対象とはならない業務として大きく次のものが指定されています(派遣法第4条第1項、派遣法施行令第2条)。

  • 港湾運送業務
    例)船内荷役、はしけ運送、沿岸荷役、いかだ運送、港湾地域内倉庫でのピッキング作業
  • 建設業務
    例)建設現場内での建設作業やその準備、建設現場への資材搬入、林業における造林作業や作業場・土場の整備、集材機の仮設
  • 警備業務
    例)施設内の異常発見のための巡回・監視、祭礼・催し物などの混雑する場所での雑踏整理、工事現場での人や車輌の誘導、身辺警護、盗難等の発生を防止する業務
  • 医療関連業務 *1
    対象職種
    医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、準看護師、管理栄養士、歯科衛生士、診療放射線技師、歯科技工士等
  • 労使協議等使用者側の当事者として行う業務
    人事労務管理業務のうち、派遣先において団体交渉または労働基準法に規定する協定締結等のための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務
  • 弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、社会保険労務士などのいわゆる「士」業
    対象職種
    • (1)弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士
      業務遂行において資格者個人が業務委託を受け当該業務を行うので、指揮命令を受ける体制にないため
    • (2)建築士
      建築士法により建築士は専任である必要があり、指揮命令を受ける体制にないため

*1 社会福祉施設等におけるもの、紹介予定派遣等によるものを除く。

受入期間の制限とはどのようなものですか

事業所単位と個人単位(組織単位)といった2つの期間制限が設けられています(派遣法第40条の2、第40条の3)。

(1)事業所単位の期間制限
同一の派遣先の事業所における、派遣労働者の受け入れ可能期間は、原則3年

※派遣先の過半数労働組合等への意見聴取を行うことで、3年を超える受入れが可能です。

(2)個人単位(組織単位)の期間制限
派遣先事業所の同一組織単位において、同一の派遣労働者の受け入れ可能期間は、3年

Point 上記期間制限について以下の例外対象が設けられています(派遣法第40条の2第1項)。
  • 無期雇用派遣労働者
  • 60歳以上の労働者
  • 日数限定業務
  • 有期プロジェクト業務
  • 産休育休・介護休業代替業務

意見聴取とはどのようなものですか

派遣先にて、事業所単位の3年を超える期間を継続して派遣労働者を受け入れようとする際に必要な手続きのことです。
具体的には、派遣先の事業所ごとに、労働者代表等(過半数労働者代表等)に対し、派遣可能期間の延長について意見を聴取します。

(意見聴取の内容…派遣法施行規則第33条の4第4項)
  1. ①労働者派遣の役務の提供を受けようとする事業所その他派遣就業の場所
  2. ②延長しようとする派遣期間(3年以内)

なお、上記手続きは抵触日の1カ月前の日までの間に書面にて行う必要があり、その書面は抵触日より3年間保存しなければなりません(派遣法施行規則第33条の4第2項)。

事業所単位の期間制限と、個人単位の期間制限はどちらが優先されますか

事業所単位の期間制限が優先されます。
つまり、事業所単位の期間制限が到来し、その後の延長がなされない場合、その時点で同一組織単位で1年しか受け入れていない派遣労働者については、事業所単位の期間制限を超えて受け入れることができません(派遣法第40条の2、第40条の3)。

個人単位の派遣期間制限を迎える際、部署を変えて引き続き同一派遣社員を受け入れることは可能ですか

組織単位を変えれば、同一の事業所内に、引き続き同一の派遣労働者を(3年を限度として)受け入れることは可能ですが、派遣先事業所単位の期間制限による派遣可能期間が延長されていることが前提となります。
この場合でも、派遣先は同一の派遣労働者を指名するなどの特定目的行為を行わないようにする必要があります。

政令業務(26業務)や自由化業務という区分はどのようになりましたか

政令業務と自由化業務の区分による期間制限はなくなりました。
ただし、日雇派遣原則禁止の例外として、旧政令26業務のうち、派遣法施行令第4条第1項各号の業務(いわゆる17.5業務、例:事務用機器操作等)は残っています(派遣法第35条の4)。

【日雇派遣の業務区分】
旧政令26業務 日雇派遣が可能な業務
派遣法施行令第4条第1項
1号 情報システム関連 4条1項1号 情報処理システム開発関係
2号 機械設計 4条1項2号 機械設計関係
3号 放送機器操作    
4号 放送番組等の制作    
5号 事務用機器操作 4条1項3号 事務用機器操作関係
6号 通訳・翻訳・速記 4条1項4号 通訳・翻訳・速記関係
7号 秘書 4条1項5号 秘書関係
8号 ファイリング 4条1項6号 ファイリング関係
9号 調査分析 4条1項7号 調査関係
10号 財務処理 4条1項8号 財務
11号 取引文書作成 4条1項9号 貿易関係・貿易関係(国内取引文書作成)
12号 デモンストレーション 4条1項10号 デモンストレーション関係
13号 添乗 4条1項11号 添乗関係
14号 建築物清掃    
15号 建築設備運転・点検等    
16号 受付・案内・駐車場管理等 4条1項12号 受付・案内関係
17号 研究開発 4条1項13号 研究開発関係
18号 事業の実施体制の企画、立案 4条1項14号 事業実施体制の企画、立案関係
19号 書籍等の制作・編集 4条1項15号 書籍等の制作・編集関係
20号 広告デザイン 4条1項16号 広告デザイン関係
21号 インテリアコーディネーター    
22号 アナウンサー    
23号 OAインストラクター 4条1項17号 OAインストラクション関係
24号 テレマーケティングの営業    
25号 セールスエンジニア、金融商品の営業 4条1項18号 セールスエンジニアの営業関係・金融商品の営業関係
26号 放送番組等の大道具・小道具    

派遣社員を当社の正社員等に直接雇用化することは可能ですか

派遣先が労働者派遣の終了後に受け入れていた派遣社員を雇用するにあたり、労働者派遣契約の当事者間の紛争を防止するために講ずべき措置をあらかじめ取り決め、派遣契約書に記載しておく必要があります(派遣法26条第1項、派遣法施行規則第22条)

派遣契約書に記した内容に従い、その派遣元が職業紹介を行うことができる場合には、職業紹介による紹介手数料の支払等を求められることがあります。

派遣社員を関連会社へ出向させることは可能ですか

派遣先が派遣社員を別会社に出向させることは、いわゆる「二重派遣」に相当します。
すなわち、雇用関係のない派遣社員を派遣先が別会社に出向させることは、職業安定法第44条で禁止する「労働者供給事業」に該当するとして、場合によっては関係者が処罰される可能性があります(職業安定法第64条)。

関係会社の社員から派遣社員に業務指示を出したいのですが、可能ですか

派遣先以外の方が派遣社員に業務指示(指揮命令)を出すことはいわゆる「二重派遣」に相当します。
派遣元との労働者派遣契約関係にない会社の社員が業務指示を出すことは、職業安定法第44条で禁止する「労働者供給事業」に該当するとして、場合によっては関係者が処罰される可能性があります(職業安定法第64条)。

取引先の中に事務所があり、そこで取引先社員の指示の下、派遣社員に勤務してもらいたいのですが可能ですか

派遣先以外の方が派遣社員に業務指示(指揮命令)を出すことはいわゆる「二重派遣」に相当します。
派遣元との労働者派遣契約関係にない会社の社員が業務指示を出すことは、職業安定法第44条で禁止する「労働者供給事業」に該当するとして、場合によっては関係者が処罰される可能性があります(職業安定法第64条)。

労働契約申込みみなし制度とはどのようなものですか

「労働契約申込みみなし制度」とは、違法状態で派遣が行われていた場合、派遣先は派遣労働者に対して、当該派遣労働者の派遣元事業主における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約をしたものとみなされます(派遣法第40条の6)。
(2015(平成27)年10月1日から施行)

「労働契約申込みみなし制度」の対象となる違法派遣とは、次のケースを指します。

  • (1)派遣禁止業務で派遣労働者を受け入れた場合
  • (2)無許可・無届の派遣元事業主から派遣労働者を受け入れていた場合
  • (3)派遣可能期間を超えて派遣労働者を受け入れていた場合
  • (4)いわゆる偽装請負で受け入れていた場合

なお、次の特記事項があります。

  • 違法派遣状態であったことを派遣先が知らず、かつ、そのことに過失がない場合は除きます。
  • 労働契約の内容はその時点における当該派遣元の労働条件と同一となります。
  • 派遣先は、申し込みに係る行為が終了した日から1年間は、当該申し込みを撤回することはできません。

派遣会社から、当社社員の賃金や教育制度についての質問がありました。どのようにしたらよいですか

派遣労働者と派遣先の労働者の均衡待遇の確保を趣旨として、以下の事項が派遣先の配慮義務として規定されています(派遣法第40条第2項〜第6項)。

【配慮義務の内容】
  • (1)派遣先の労働者に関する賃金等の情報提供等
  • (2)派遣先の労働者に業務に密接に関連した教育訓練を実施する場合は、派遣労働者にも実施する
  • (3)派遣労働者に対し、派遣先の労働者が利用する福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)の利用の機会を与える
Point 2015年改正法で努力義務から配慮義務に変更された「 配慮義務」とは?
努力義務では、義務の履行は当事者の任意の協力・判断に委ねられ、努力をしていれば指導・助言・罰則等の適用対象にはなりません。しかし、配慮義務の場合、義務の履行のため当事者は何らかの措置、対応を講じることが求められ、措置・対応を講じていなければ、指導・助言・罰則等の適用対象となります。つまり、努力義務より配慮義務のほうがより実効性を求められます。

キャリアアップ措置が義務化されたと聞きましたが、どのようなものですか

派遣先、派遣元それぞれに対し、以下の事項が定められています(派遣法第30条の2、派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針第2の8(5)、派遣法第40条第2項、派遣先が講ずべき措置に関する指針第2の9(3))。

【派遣元の義務】
  • (1)労働局に教育訓練計画を提出
  • (2)計画的な教育訓練の実施
  • (3)希望者に対するキャリアコンサルティングの実施
  • (4)教育訓練等の実施状況の事業報告
  • (5)教育訓練等の実施状況を派遣元管理台帳等記録すること。(その者が退職後3年間の保存が必要)
【派遣先の配慮義務・努力義務】
  • (1)派遣先は、派遣元が教育訓練の実施にあたって希望した場合には、派遣労働者が教育訓練を受けられるように可能な限り協力し、また必要な便宜を図るよう配慮すること。
  • (2)派遣先は、派遣元の求めに応じ、派遣労働者の職務遂行状況や遂行能力の向上度合いなど派遣元によるキャリアアップ支援に必要な情報を派遣元に提供すること。

新たに直接雇用の従業員を募集する場合、受け入れ中の派遣社員に対して募集情報の周知が必要になったと聞きました。どのようなことですか

改正法による派遣先での正社員化の推進と雇用安定を目的に、対象となる派遣労働者に対し、派遣先社員の募集情報を提供することが定められました(派遣法第40条の5第1項・第2項)。

対象 同一事業所で、1年以上受け入れている派遣労働者
有期雇用 無期雇用
同一組織単位で、1年以上就業している派遣労働者
有期雇用
同一組織単位で、3年の就業見込みがある派遣労働者
有期雇用
対応 義務
当該事業所で正社員の募集を行うときは、当該募集情報を周知しなければならないこと。
努力義務
派遣元より直接雇用の依頼があった場合であって、その業務に労働者を雇い入れようとするときは、その派遣労働者を雇用するよう努めること。
義務
労働者募集情報(正社員/有期雇用)を周知すること。

「派遣労働者と従業員の均等待遇の推進」とは具体的にどのようなことですか

派遣労働者と派遣先の労働者との均衡待遇の確保について、派遣元と派遣先それぞれに対し、以下の事項が要求されています。

派遣元
派遣法第30条の3、第31条の2
派遣先
派遣法第40条第2項〜第5項
  • (1)配慮義務 均衡を考慮しつつ、派遣労働者の職務の内容、能力・経験等を勘案して賃金を決定すること
  • (2)配慮義務 教育訓練を実施すること
  • (3)配慮義務 福利厚生を実施すること
  • (4)義務 均衡を考慮した待遇の確保のために配慮した内容を、本人の求めに応じて説明すること。
  • (1)配慮義務 派遣元に対し、派遣先の労働者に関する賃金等の情報提供等
  • (2)配慮義務 派遣先の労働者に業務に密接に関連した教育訓練を実施する場合は、派遣労働者にも実施すること
  • (3)配慮義務 派遣労働者に対し、派遣先の労働者が利用する福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)の利用の機会を与えること

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